魔女兵器メモ

日本、中国版で魔女兵器プレイ中。中国版では自分用にストーリーの意訳とか。ざっくり意訳なんで気になる人は原文確認してくだせぇ。攻略情報は魔女兵器wiki 新豊洲支部へ。

【魔女兵器 翻訳】ACTIVITY.1_深潜症 PART.23 マリルの好奇心_20180825修正

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白烛靠在我的肩头陷入了沉睡。

海因里希缓缓走到破碎的培养槽前,将手浸在底部还未漏出的淡蓝色液体中。

海因里希:

 这是―――

小怜:

 怎么?

海因里希:

 其中99%以上的成分是水,但最关键的..........

她绕到培养槽后仔细观察,顺着管线在房间昏暗的角落找到了一个小型机柜。

在电气石的照耀下,包裹着机柜的灰绿色金属泛出一层淡蓝色的光晕。

拉斐尔:

 那个材料―――!

小怜:

 (那种金属......是之前存放贝阿特丽切魔导器的手提箱外壳所用的材料!)

那是一种可以减弱或屏蔽精神和模因类『异质物』影响的合金,那么机柜里的东西.........

没等我阻止,炼金术士就打开了机柜,从中取出一支玻璃容器。

里面的蓝色液体已经消耗了五分之一。

小怜:

 是录像里的男人带走的东西―――

海因里希:

 我没法感知这种材料.........但那个女孩应该就是靠它修复和保持生命活性的。

 机柜上的计时器显示,上次被打开是在十六万七千 六百六十五小时四十八分钟之前。

 这段时间里她完全没有衰老的迹象,真是......了不起的力量。

海因里希的眼神发光,声音有些激动。

拉斐尔:

 “没有衰老”的生物学解释......

 能停止新陈代谢强行延长细胞寿命,或者是能补充端粒并让受损的细胞快速进入凋亡程序。

 但是她在培养槽里是有呼吸的。

 这么说......

……

 

バイジュウが俺の肩に寄りかかったまま眠りに落ちた。

ハインリッヒは粉砕された培養槽の前へゆっくりと進み、底に漏れずに残った淡い青色の液体に手を浸した。

ハインリッヒ:

 これは……

レン:

 何なんだ?

ハインリッヒ:

 99%以上の成分は水ですわ。しかし最も重要なのは……

彼女は培養槽を回ってよく観察し、配管に沿っていくと部屋の薄暗い隅で小型のキャビネットを見つけた。

電気石に照らされて、キャビネットをコーティングしている灰緑色の金属が、淡い青色の光彩を帯びる。

ラファイル:

 その素材って―――!

レン:

 (あの金属………ベアトリーチェの魔導器を保管していたスーツケースの外装と同じ素材だ!)

それは精神系やミーム系の『異質物』の影響を弱めたり、遮断する合金だ。じゃあ、あのキャビネットの中身は……

俺が止める間もなく錬金術師はキャビネットを開き、そこからガラス容器を取り出した。

中の青い液体は既に5分の1程消費していた。

レン:

 映像の男が持って行ったもの―――

ハインリッヒ:

 この素材、分析できない………それでもその子は、これによって修復と生命の活性を維持していたはずですわ。

 キャビネットのタイマーが表示されてますわね。最後に開いたのは16万7千665時間48分前。

 この間、彼女は少しも老化していない。全く……すごい力ですわ。

ハインリッヒの目が輝き、声も少し興奮している。

ラファイル:

 ”老化しない”を生物学的に解釈するなら……

 新陳代謝を止めて細胞寿命を無理やり伸ばすことは出来るわ。あるいはテロメアを補充すれば損傷した細胞は急速にアポートシスに入るわ。

 でも彼女は培養槽で呼吸をしていた。

 そういえば……

……

 

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我们三人带着白烛一路回到基地入口,即使离开了梦境,我们也没看到录像中的尸体.........

早已在此等候的莉琉,二话不说的把我丟到航船上任由爱衣疯狂蹂躏。

看到我湿哒哒的衣物,爱衣露出了微妙的表情,然后丢给我一条粉色白条的运动裤。

之后的经历充满了我不愿回忆的马赛克......

拉斐尔怀疑白烛的苏醒并非我们脱离梦境的原因爱衣拿着我换下的衣服表示会进一步研究~

小怜:

 (求求你不要研究了!!!!)

 (呜呜呜呜呜呜.........)

做梦梦到拼命找厕所,然后被人猛击了腹部.........

那种情况下,谁都会醒过来吧......

小怜:

 不过还是没找到对付甲烷泄露的方法...

望着窗外冰层上巨大的裂口,我担心的自言自语着。

拉斐尔:

 ―――那倒不一定。

拉斐尔从后面走来,跟我一起望着窗外,嘴上还挂着神秘的微笑。

小怜:

 (她、她不会知道了什么在嘲笑我吧......)

拉斐尔:

 咳咳~

拉斐尔严肃了一下表情,一本正经的说。

拉斐尔:

 爷爷提出的利用抗寒性嗜甲烷菌的方案,有两个最大的问题―――

小怜:

 嗯嗯~

我乖乖巧的点头,虽然并没有听懂.........

拉斐尔:

 最大的问题是古菌的基因很不稳定,在大规模培养时,分裂几十代就有很大概率变异失能。

 虽然每十几分钟就会分裂一次,但变异的细菌依然可以分裂,之后会以几何级数的速度污染样本。

 以现在的技术很难分辨和去除变异的菌株,这才是 它难以培育的最主要原因。

 不过“那种东西”既然可以让人类在那么长的时间里都没有出现衰老的迹象.........

 很可能是从细胞层面解决这个问题的关键突破口。

小怜:

 好、好像很厉害... 如果可行话,问题可以解决了?

拉斐尔:

 还有一个问题,就是那种厌氧菌只有在泄露点附近才能存活。

 如果用生物气溶胶在大气中进行空中散播,恐怕还没落地就死光了......

 需要一种可以快速封闭隔绝氧气,又能在寒冷环境下自动降解的物质来承载......

爱衣捏了我一下,朝我使了个眼色。

小怜:

 嗯.........用气凝胶?

之前在天空酒店,安妮用那种东西封过这位大小姐的房门,不过被雅各那伙人用液氮破解了。

拉斐尔:

 倒是个有趣的方案......你还挺机灵的嘛~

她刚才,好像难得的夸奖了我一下!

小怜:

 (我是不是听错了...)

拉斐尔:

 不过,你怎么穿着运动裤,尿床了?

小怜:

 没、没、不是,绝对不是―———!!

 

俺たちは3人はバイジュウを連れ基地の入り口へ帰ってきた。夢の世界を離れたが、映像にあった死体は存在しなかった……

待ち受けていたマリルは何も言わずに俺を船へ投げつけた。アイの狂気に蹂躙される。

俺の濡れた衣類を見て、アイは微妙な表情を浮かべた。そしてピンクの白線の入ったジャージを投げつけてくれた。

その後の経験はもう思い出したくないほどモザイクに満ちている……

ラファイルはバイジュウの蘇生が夢から離れた原因ではないと疑っている。アイは俺が着替えた服を持って研究を進めるようだ。

レン:

 (頼むから研究しないでくれ!!!!)

 (うううううう………)

夢の中で一生懸命トイレを探して、腹を強打されたんだ………

そうなったら、誰だって目が覚めるだろう……

昏睡中のバイジュウは隔離医務室に運ばれ、アンネも飛行機に乗った途端眠ってしまった。精神的に疲れていたのだろう………

レン:

 メタンの漏洩対策がまだ見つかっていないな……

窓の外にある氷の巨大な裂け目を見て、心配そうにつぶやく。

ラファイル:

 ―――それがそうとは限らないわ。

ラファイルが後ろから来た。俺と一緒に窓の外を眺め、口元には不思議な微笑を浮かべている。

レン:

 (な、何で笑っているんだ……)

ラファイル:

 コホン。

ラファイルは真剣な表情をして、真面目に言った。

ラファイル:

 祖父が提案した耐寒性メタン菌案は、2つの大きな問題があるわ―――

レン:

 ふむふむ

大人しく頷いてみたが、全然わからん……

ラファイル:

 最大の問題は古菌の遺伝子が不安定なこと。大規模培養では数十代の分裂で、高確率で変異によって失能するわ。

 十数分毎に分裂するけど、変異菌の細胞も分裂するわ。後は幾何学的な速度でサンプルを汚染する。

 現在の技術では変異菌株の区別や除去が困難というのが主な原因よ。

 でも”アレ”は、人間であっても長い間、老化の兆しを見せなかったわ……

 この問題を細胞レベルで解決する重要な突破口である可能性が高いのよ。

レン:

 す、すごそうだな……もし可能なら、問題は解決出来るってことか?

ラファイル:

 もう1つの問題は、その嫌気性菌は漏洩点の近くでしか生きられないこと。

 バイオエアロゾルで大気中に空中散布すれば、着地前に死んでしまう恐れがあるわ……

 酸素を高速で遮断し、さらに寒冷環境下で自動分解する物質でなければならない……

アイが俺を摘んで、目配せする。

レン:

 ええと……エアロゲルとか?

スカイホテルで、アンネはそんな物でこのお嬢様のドアを封じていた。結局ジェイコブの奴らに液体窒素で突破されたけど。

ラファイル:

 面白い案ね……アンタにしては気が利くじゃない

いま彼女、珍しく褒めてくれたのか!

レン:

 (聞き間違えたのかも……)

ラファイル:

 でも、アンタはどうしてジャージ穿いてるの。おねしょ?

レン:

 ち、ち、違う、絶対違うから―――!!

 

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麦克默多站的极地实验室中,存放着从深层冰川之下淤泥中取得的抗寒性嗜甲烷菌种。

虽然原始样本数量很少,但爱衣配合那种蓝色液体成功的在几小时内培养出了足够的活性菌株。

航船从南极上空飞过时,我注意到数量庞大的各国无人机正协力在裂缝的上空进行着作业。

胶网结构的改良型气溶胶内部封存着高浓度活性嗜甲烷菌,像无数细小的冰晶一样散落在泄露点。

地震的12小时后,南极各监测站的数据表明,空气中的甲烷含量已经得到控制。

之后,莉琉向联合议会申请了一笔天文数字的维护费,由六大学园都市共同支付......

 

マクマード基地の極地実験室には、深層氷河泥から採取した耐寒性メタン菌種が保存されている。

オリジナルのサンプル数は少なかったが、アイはあの青色の液体を配合して、数時間以内に十分な活性菌株を培養した。

航空船で南極上空を飛んでいると、凄まじい数の各国のドローンが亀裂上空で作業しているのに気づいた。

コロイド構造の改良型エアロゲル内部には高濃度活性メタン菌が封入されていて、無数の微細な氷晶のように漏洩地点に散らばっている。

地震の12時間後、南極の各観測所のデータによると、空気中のメタン含有量はすでに抑制されたとのことだ。

その後、マリルは連合議会に天文学的数字の維持費を請求、6大学園都市が共同で支払う運びとなった……

 

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海因里希坐在指挥室内,而莉琉则站在大屏幕前看着上面的资料。

莉琉:

 海因里希·昆哈特.........

 一出现,就把我的人卷入了相位波动空间呢。

海因里希:

 初次见面~

海因里希平静的微笑着。

莉琉:

 虽然之前说过话,但正式见面还是第一次。

海因里希:

 这里看起来不像审讯室,我该为此表示感谢吗?

莉琉没有理会挑衅,盯着海因里希的履历。

莉琉:

 十岁进入莱比锡大学,十四岁成为炼金术士。

 后来在巴塞尔大学,只用了四个月就获得医学博士学位。

 记录的死亡时间是1605年,死因是实验室爆炸...

 有文献记载在爆炸发生前,一家荷兰注册的公司给了附近的居民一大笔钱并要求他们搬家。

 从当时巡查官的日记看来,爆炸物的烈度可能超过了两百多年后发明的甘油炸药。

海因里希:

 呵呵呵,那只是我脱离『那位』控制的手段罢了。

 不过那些炼金术士用了两百多年才追上我吗?

海因里希有些嘲讽的说道。

莉琉:

 两百多年后,炼金术士已经被称做“化学家”了。

 后来的炸药没有使用魔法刻印,普通人也能规模生产,是门很赚钱的生意~

 虽然偶尔还是会炸死个亲戚什么的......

海因里希心领神会的笑了笑。

莉琉:

 你唯一留下的字迹是《永恒智慧的露天剧场》的手 稿,现被收藏于纽摩利达斯市立博物馆。

海因里希:

 当时花了我不少功夫呢,有机会去看看~

莉琉:

 个人收藏以宝石为主,现留存于世的,只有代表自然元素的五件藏品,青金石柱是最重要的收藏......

海因里希:

 那个被小怜摔碎的?其实一点也不重要~

莉琉:

 ―――你留下的信息实在有限,以至于在行动前我们将你的性别都推断错了。

 有些难辨真伪的民间资料是你带着拉斐尔和小怜她们消失之后,由萨蒙顿追查出来的。

 如果一开始就将这些信息纳入可信材料,我们无论如何也不会选择青金石柱进行实验。

海因里希:

 那么看来,我和主人的相遇是命中注定啊......

金发少女情懷的伸了个懒腰。

莉琉:

 我好奇的是,在小怜的录音和你的描述中,都提到了『生命之树』是一种封印―――

 封印着让你所说的『那位』也感到恐惧的东西。

  根据白烛的口供,那个东西——至少其中之一,是 存在于深海中的巨大眼球状生物......

海因里希:

 ……

莉琉:

 我可以不问『那位』是谁,也无需知道那个眼球是什么,那些东西可能比人类的历史要久远得多。

 我现在只能以对待物理定律的方式,将它们的存在作为既定条件。

海因里希:

 很有智慧的判断.........那么你想知道的是?

莉琉:

 我想知道是―――什么造成了封印的不稳定。

海因里希看着莉琉坚定的眼神,这确实是一位务实的战略家能提出最合适的问题。

海因里希:

 关于这个......

金发少女伸出右手,随着图腾转动的光芒,一枚碧蓝色的宝石出现在她的手心。

宝石中心,液体一样流动的物质包裹着一颗眼球形状的虚影。

这颗被宝石封存的眼球投影,此时瞳孔正缩小并在不规则的抖动,正如人类进入深度睡眠时的状态。

唯有枝杈状神经末梢还在宝石内部的液状物质中微微飘动,呈现着一股诡异的平静感。

海因里希:

 虽然我也不知道“它”是什么。

海因里希出神的盯着那只眼睛。

海因里希:

 但重要的是,原本一直在其体内抑制它的什么东西不见了.........

 否则,你认为人类用探针扎了这种东西之后的生还率会有多高?

莉琉:

 ......必死无疑。

海因里希点点头,抛起宝石。

海因里希:

 第九原质是代表生命的『基础』,可能正是它修复 生命体的能力,一直维持着那个小姑娘的状态。

莉琉:

 但这种状态已经稳定的维持了19年,为什么......

海因里希:

 那个基地最有价值的数据,你都搜刮回来了吧~

莉琉:

 你是说,培养槽的数据?

莉琉操作手持设备,从庞杂的资料库中调出了白烛身体监测数据的时间轴。

海因里希:

 那里,七十多天前―――

莉琉:

 那个时间点出现了一次波动,然后越来越强烈.........

海因里希:

 或许七十多天前由于某些原因,让“那个东西”无法继续维持稳定了........

 它通过那种蓝色液体与白烛产生了共鸣,生成能影响人类的梦境。

莉琉:

 或者完全相反——白烛在七十多天前由于某种原因 无法再保持稳定,然后影响到那个眼球.........

海因里希:

 总之,是一个让双方都越来越难以稳定的叠加态而且是不久前才出现的。

莉琉:

 这与我们的推测一致.........这些年来白皇后基地应该 一直都是有人运作的。

 但在战后,原来的机构似乎仅仅能进行最低限度的维护,并在极夜期间会将全部人员撤走。

 那个机构很注重保密性,注册的公司向上追查全是空壳,运作资金也完全通过加密授信。

 他们每年都会清除影像资料,如果不是因为在梦境中,你们在监控室应该什么都看不到。

 (但那块手表.........)

 .........等等。

 七十多天前―――

 (不就是洛斯金杯消失的那时吗......)

海因里希摊了摊手。

海因里希:

 不清楚,那时我还没“醒来”。

 而且,正如你刚才所说―――

莉琉:

 ?

海因里希:

 如果一开始你们就掌握了全部材料,肯定不会选择 青金石,那么我也不会将她们带去南极了对吧?

莉琉:

 ......没错。

海因里希:

 但如果不是我们及时赶到南极,阻止了梦境范围进一步扩散的话......

 Boomーーー!

海因里希做了个爆炸的手势,然后露出一个神秘的微笑。

海因里希:

 虽然我并不清楚之前的事情......

 但你真的认为,你们只是碰巧选择了青金石柱吗?

莉琉:

 你是说想,这也是『那位』的意志吗?

海因里希:

 我原本也以为小怜之所以会被卷入因果之隙,是因 为『那位』对她感兴趣。

 或者想让小怜成为它的另一个奴役对象.........

 但是,她竟可以凭自己的意志扭曲因果之隙。

 这么看来,『那位』根本不够资格来命令小怜。

海因里希的声音有些兴奋。

莉琉:

 这一点,我倒不意外。

看着对方有些惊讶的表情,莉琉接着拿出一份文件, 放在她面前。

莉琉:

 名义上,青金石柱是萨蒙顿提供的,那里也更接近你的出生地,而且你的存在也被萨蒙顿所知......

 所以由于政治和外交方面的原因,我不能要求你留在这里。

 不过,如果你想了解真相的话,我倒是有个建议。

海因里希:

 哦?看来你也像『那位』一样,非常擅长奴役他人呢.......

莉琉:

 当然―――

莉琉露出一个灿烂的笑容。

莉琉:

 但我可不会强迫你签订契约~

她一边说着,一边用手指在文件上要求“签名”的地方敲了敲。

莉琉:

 在这里签字,你就能以拉斐尔随行人员的身份留在新丰洲,这样两国都可以接受。

 而且―――

看着海因里希怀疑的目光,莉琉取出一个试管样子的密封容器。

随着她的动作,试管内的蓝色液体缓缓展出一个透明的轮廓。

仿佛粘液一样的存在,凸出一个拇指大小的球形结构。

―――就像眼球一般。

海因里希:

 那是......?

 莉琉:

 对这个生物感兴趣吗?

莉琉打开签字笔,微笑着递给了金发少女。

 

ハインリッヒは指揮室に腰を下ろし、マリルは大きなスクリーンの前に立ってある資料を見ていた。

マリル

 ハインリッヒ・クンラート………

 現るや否や、私のものを位相波動空間に巻きこんだな。

ハインリッヒ:

 どうもはじめまして~

ハインリッヒは静かに微笑んだ。

マリル

 前に話しはしたが、正式に会うのは初めてだな。

ハインリッヒ:

 ここは取調室には見えませんが、このことを感謝したほうがよろしいかしら?

マリルは挑発に乗らずに、ハインリッヒの履歴を見つめてた。

マリル

 10才でライプツィヒ大学に入学し、14才で錬金術師になる。

  その後バーゼル大学で、わずか4ヶ月で医学博士学位を取得。

 死亡が記録されたのは1605年、死因は実験室の爆発だが……

 爆発前、オランダの登録会社が近くの住民に対し巨額の金を与え、引越しを求めたという文献がある。

 当時の巡査官の日記からすると、爆発物の炎は200年以上後に発明されたグリセリン爆薬を凌ぐ可能性がある。

ハインリッヒ:

 ふふふ、それは『あの方』の制御から逃れるための手段に過ぎませんわ。

 でも、その錬金術師たちは200年もかけて私を追いかけてきたのですか?

 ハインリッヒは皮肉げに言った。

マリル

 200年後、錬金術師は”科学者”と呼ばれている。

 その後の爆薬は魔法刻印を使用しないため、一般人でも生産可能だ。要は金儲けの商売だな。

 時には縁者を殺してしまうけどな……*1

ハインリッヒは心の中で笑う。

マリル

 唯一残された文書は《永遠なる叡智の円形劇場》の原稿だ。現在はニューモリダス市立博物館に収蔵されている。

ハインリッヒ:

  当時は色々と工夫を凝らしましたね。機会があれば行ってみますわ。

マリル

 個人コレクションは宝石を主とし、現存しているのは、自然を代表する5つの蔵品しかない。青金石柱は最も重要なコレクションだったが……

ハインリッヒ:

 あのレンさんが割られたのですよね?実はちっとも重要ではありませんわ。

マリル

 ―――お前の残した情報は非常に限られていた。そのため作戦前には、性別さえも誤って推測していた。

 ラファイルとレン達が消えた後、その真偽を見分ける民間資料について、サモントンが追及してきた。

 最初からこれらの情報を信頼できる資料として取り入れていれば、いかなる理由があろうとも青金石柱を実験対象とはしなかった。

ハインリッヒ:

 では私とマスターの出会いは運命のようですね……

金髪の少女は気持ちを込めて伸びをした。

マリル

 私が興味あるのは、レンの録音とお前の説明であった、『セフィロトの樹』は封印を担っているということだ―――

 お前の言う『あの方』さえも恐れているものを封印している。

 バイジュウの供述によれば―――少なくともそのうち1つは深海に存在する巨大な眼球上生物……

ハインリッヒ:

 ……

マリル

 私が『あの方』が誰なのか、その眼球が何なのかを知る必要はない。それらは人類の歴史よりずっと古いのかもしれない。

 しかし今は、物理法則で対処することしかできない。そのためそれらの存在は既定条件とするだけだ。

ハインリッヒ:

 聡明な判断ですわ………では知りたいことは?

マリル

 私が知りたいのは―――何が封印に不安定をもたらしたのかだ。

ハインリッヒはマリルの確固たる眼差しを見つめている。確かに戦略家が最適な質問を提起できる。

ハインリッヒ:

 それにつきましては……

金髪の少女が右手を伸ばした。図像が現れ光を伴って回転し、青い宝石が彼女の手のひらに現れた。

宝石の中心、液体のように流れる物質は、眼球の形の虚影を包んでいる。

この宝石に封じられた眼球の影は、瞳孔が縮小して不規則な震えをしている。まるで人間がレム睡眠に入った状態のようだ。

枝上神経の末梢だけが宝石内部の液状物質にゆらゆらと浮かび上がり、不気味な平静感を漂わせている。

ハインリッヒ:

 私も”それ”が何なのかわかりませんわ。

ハインリッヒはうっとりとその眼球を見つめている。

ハインリッヒ:

 しかし重要なのは、元々体内で"それ"を抑えていた何かが無くなったということですわ……

 そうでなければ、人間が針でこのような存在を刺した後に、どれくらいの生還率があると思いますの?

マリル

 ……間違いなく死ぬな。

ハインリッヒは頷き、宝石を投げ渡した。

ハインリッヒ:

 第9セフィラは生命の『基礎』を司っています。まさにその生命体への修復能力で、ずっとあの少女の状態を維持していたのかもしれませんわ。

マリル

 しかしその状態は19年も安定していたはずだ、どうして……

ハインリッヒ:

 あの基地で一番価値のあるデータを、あなたは全て持ち帰りましたわ。

マリル

 培養槽のデータか?

マリルタブレットを操作し、雑多なデータベースからバイジュウの身体モリタリングデータのタイムラインを出した。

ハインリッヒ:

 70日ほど前―――

マリル

 その時間に波が1度現れ、そしてますます強くなっていく……

ハインリッヒ:

 もしかすると70日程前に何らかの原因で、”アレ”が安定し続けられなくなり……

 その青い液体を介しバイジュウと共鳴、人類に影響を及ぼす夢を作成したのかもしれませんわ。

マリル

 あるいは全く逆かもしれないな―――バイジュウは70日程前に何らかの理由で安定していられなくなり、その眼球にまで影響を及ぼした……

ハインリッヒ:

 要するに、双方が安定しにくい状態となった。それも少し前にです。

マリル

 私達の推測とも一致する………白皇后基地はここ数年ずっと誰かが動いていた。

 しかし、戦後、元の機関は最低限のメンテナンスだけ行い、極夜期間に全員撤去しているらしい。

 その機関は機密性を重視し、登録会社を追っても何も出てこない。運営資金も暗号化を通じて受信する。

 奴らは毎年映像資料もクリアしている。夢の中であっても、監視室では何も見れないはずだ。

 (しかしあの腕時計は……)

 ……待てよ。

 70日程前―――

 (洛斯金杯が消えたタイミングか……)

ハインリッヒは手を広げた。

ハインリッヒ:

 分かりませんわ。その時はまだ目覚めてません。

 そして、先程あなたが言ったように―――

マリル

 

ハインリッヒ:

 最初から全ての材料を判断出来ていた場合、青金石が選ばれず、私を南極に連れ込むこともなかったのでしょう?

マリル

 ……そうだな。

ハインリッヒ:

 しかし、私たちが南極に駆けつけることもなく、夢の範囲が広がっていくのを止めたなら……

 ぼーん!

 ハインリッヒは爆発のジェスチャーをして、謎の微笑を浮かべた。

ハインリッヒ:

 今までの事情はわかりませんが……

 しかし本当にあなたは、偶然青金石柱を選ばれたのでしょうか?

マリル

 これも『あの方』の意思だと?

ハインリッヒ:

 因果の隙間に巻き込まれたのも、『あの方』が彼女に興味をもっていたからだと思いましたわ。

 あるいはレンさんを新しい奴隷にしたいのか……

 しかし、彼女はご自分の意思で因果の隙間を歪める事が出来ますわ。

 このように見てみれば、『あの方』はレンさんに命令する資格がありませんわ。

ハインリッヒの声は少し興奮している。

マリル

 その点に関しては、意外ではなかった。

驚いた表情を見ながら、マリルは資料を取り出し、彼女の前に置いた。

マリル

 名目上、青金石柱はサモントンが提供している。そこはお前の出生地も近く、お前の存在もサモントンに知られている……

 そのため政治と外交的理由で、お前がここに残るように要求することが出来ない。

 しかし、真相を知りたいというのなら、アドバイスすることは出来る。

ハインリッヒ:

 ほう?どうやらあなたも『あの方』のように、人を奴隷にするのがお得意のようですね……

マリル

 当然だ―――

マリルは明るい笑みを浮かべる。

マリル

  しかし契約を強制することは出来ないな~

彼女はそう言いながら、文書の”サイン”の箇所を指先でノックした。

マリル

 ここにサインすれば、ラファイルの随行者として新豊洲に残すことができ、両国とも受け入れられる。

 しかも―――

ハインリッヒの疑惑の眼差しを受け、マリルは試験管のようなカプセルを取り出した。

彼女の動きに伴い、試験管内の青い液体が透明な輪郭をゆっくりと広げる。

まるでスライムのような存在で、親指ほどの大きさの球形構造を浮き出している。

―――眼球のようだ。

ハインリッヒ:

 それは……?

マリル

 この生物に興味があるだろう?

マリルはサインペンを開き、笑みを浮かべながら金髪の少女に手渡した。

 

*1:ニトログリセリンからダイナマイトを作り、一般に普及させたアルフレッド・ノーベルを指していると思われる。ノーベルの弟は実験中の爆発で亡くなっている。