【魔女兵器 翻訳】ACTIVITY.4_星尘降臨 PART.8 第8章_20191022修正
第三学园都市——马萨达堡。
一座建在沙漠中的军事要塞,特产是死海泥、沙尘暴和恐怖袭击。在大多数人的记忆中,伴随马萨达堡的新闻不是军事冲突就是人道主义灾难。
血与沙、原油与白烟勾勒出的死亡曲线常年交织在这片古老的土地上.........
那里人的生活是什么样子的? 我完全无从想象......
但又有种莫名的熟悉感,就像我曾亲历过一般......
砂漠に建てられた軍事要塞で、特産品は死海泥*1と砂塵嵐とテロ攻撃。
多くの人々の記憶において、マサダブルクに関連するニュースというのは軍事衝突以外となると人道主義的な災難しかない。
血と砂、原油と白煙が描いた死の曲線は、長年この古い土地で織り成していた……。
そこに住んでいる人達の生活ってどんな感じなんだ?俺には全然想像もできない……。
でも、どこか馴染みがあるような気もする。それはかつて俺が経験したような……。
小怜:
唉―――
我背靠在甲板的栏杆上,小星尘像树袋熊一样紧紧 抱着我,泪水还隐隐的在她眼眶里打转。
小怜:
好啦好啦,我刚才只是开个玩笑―――
喂喂你轻点,指甲都快抠我肉里啦......
小星尘:
呜呜............小怜:
别、别用我衣服擦鼻子啊!!!我无奈的叹口气,安抚的摸了摸她的头。
刚才爱衣推测小星尘所指的方向是马萨达堡,但询问一番后发现她对这个地名完全没印象。
或者说,她连『学园都市』这个概念都不知道......
莉琉说要先整理一下情报,让我在甲板待命,等一会再联系。
我心里还是无法接受这家伙居然是只有我能看到的幻像,想趁机再做几个测试―――
我先把手机放在地上,要她帮我捡起来。
然而她对我的要求只是报以礼貌性的微笑,歪着脑袋摆出一脸“你是弱智吗?”的表情。
对峙了大约三十秒之后,我只能尴尬的自己捡起手机,随后又冒出个更蠢的点子―――
“既然她没有实体,那是不是可以穿墙呀?"
于是我在她的注视下走回船舱,锁上船舱通往甲板的门,并藏进她的视线盲区。
两分钟后,门的另一侧隐隐传来抽泣的声音,我觉得不妙赶忙忙开门,她一把抱住我的大腿就不放了。
为了避开船舱内偶尔经过的侍者,我艰难的拖着她挪到了栏杆边上。
小怜:
(拖着这么个腿部挂件,我走都走不动啊......)
带孩子原来这么辛苦的吗!?
更糟的是别人还看不到她,现在的我看起来一定像 个自言自语还肢体不协调的神经病。
被她赖得实在没辙,我只能轻声细语的哄。
小怜:
乖啦,我不会丢下你的~刚才是我不好,我道歉好吧?
说着对她做了个傻乎乎的鬼脸。
如果被人看到我对着空气挤眉弄眼,我绝对立刻从甲板缝里钻进去。
小星尘稍稍平复一些,抱着我抬起头,眼睛眨巴眨巴,头上的耳朵闪了闪。
小星尘:
那你答应我,跟我去那个方向好不好........
真的,真的很重要.........…………
你刚才不会是装哭吧?
小怜:
(小孩子果然很难搞啊......)
也不知道莉琉会不会同意,我带着这个小家伙去那么危险的地方。
突然,耳机传来一阵电流音,莉琉恢复了连线。
莉琉:
小怜,安妮,你们对马萨达堡有多少了解?小怜:
嗯......
安妮:
大概......
我努力回忆着,即使在SID特工培训的课程中,关于马萨达的信息也十分零散。
安妮:
第三学园都市,位于西亚腹地的堡垒都市,内外城区之间被几十米高的隔离墙分开。
小怜:
好像是因为种族还是宗教矛盾什么的原因?
总之马萨达外城区似乎很危险,每个月都有一两起 爆炸恐袭的样子!
安妮:
他们的情报机构——马萨达复兴使命局是由军方直接控制的,作风大胆激进。
小怜:
啊我知道,那个机构又叫『摩诺拉』吧?
那是经常出现在电影和游戏中的名字,很少作为主要阵营。
小怜:
对了,他们的武器很先进,游戏里马萨达都是负责给玩家提供遥控战车和无人机什么的......
莉琉:
好了,到此为止―――
那片区域的地缘政治环境一向很复杂,加上抵抗军和分裂组织就更混乱了。
不过单论马萨达『内城区』的话,其安全性并不亚于新丰洲,所以―――
小怜:
唉?难道说... 你同意了?
一直抱着我大腿的小星尘似乎有些开心的扭了扭。
安妮:
就我们两个...没问题吗?
三个!是三个!! 这儿还有个拖油瓶!!
莉琉:
这又不是间谍行动,现在连具体要前往的目的地都不明确,你们别做出格的事就行了。
爱衣:
而且你们也不需要换船,这艘赌船明天一早就会停 靠在马萨达港啦~安妮:
......怎么回事?不是要去萨蒙顿吗?莉琉:
马萨达三天后要和抵抗组织签署停火协议,在签署仪式完成前苏伊士运河会全面封锁。
赌场为了乘客安全考虑,刚刚决定遵从马萨达军方的“强烈建议”,退回到埃拉特。
这艘船会顺着红海-死海大运河一路北上,在马萨达港停靠,直到苏伊士运河的封锁解除。
安妮的伪装身份是新丰洲艺术交流项目的学生,手续已经好了。
至于小怜——你的伪装身份很可能已经被马萨达海防登记了,就继续当你的小护士吧~
莉琉的话语中带着让我略感不妙的笑意。
小怜:
唉??!
爱衣:
总之你们要等协议签署完再行动,这两天就在城内旅游观光吧~
莉琉:
如果那孩子想去的地点在城区外的话,我三天后再安排那边情报站的人接应。
小怜:
连苏伊士运河都封锁了啊.........
签署一份协议而已......需要搞得这么严重吗?
レン:
はぁ―――
甲板の手すりに背をもたせかけている俺を、星尘がコアラのようにぎゅーっと抱きしめていた。まだ彼女の眼の中では涙がかすかに潤んでいる。
レン:
よ、よしよし、さっきのは何かの冗談だろ―――
だってほら、こうしてお前の爪が俺の肉に軽く食い込んでるし……
星尘:
う"ぅ"............
レン:
お、俺の服で鼻をかむんじゃない!!!
仕方がないなとため息をつき、宥めるように彼女の頭を撫でた。
先程、愛衣は星尘が指さした方向をマサダブルクだと推測していた。しかしいざ彼女に尋ねてみるとこの地名に全く聞き覚えが無いということがわかった。
それどころか、『学園都市』という概念すら知らなかった………。
まずは情報整理をしなければならない、それまで甲板で待機していろ。また後で連絡するとマリルは言い残した。
こいつが俺にしか見えない幻だなんて、とてもじゃないが信じられない。この間にもいくつかテストをしてみようじゃないか―――
まずは携帯を地面に置く。次に彼女に拾って欲しいと頼んだ。
しかし俺のお願いに対し、彼女はただ形ばかりの笑みを浮かべているだけだ。首を傾げ”頭おかしいの?”という表情をしている。
30秒ほど対峙した後、俺はばつが悪そうに自分の携帯を拾った。そして更に愚かなアイデアを閃いてしまう。それは―――
“実体が無いということは、壁をすり抜けられるのではないか?”
俺は彼女に見守られながら船室に戻る。そして船室から甲板への扉を閉めると、彼女の視界の死角へと隠れた。
2分後。扉の向こうから微かにすすり泣く声が。俺は急いで扉を開けたものの、彼女は俺の太ももにぎゅっと抱きついて放さなくなった。
時折船内を通るウェイターを避けるため、何とか彼女を手すりのそばまで引きずっていった。
レン:
(こんなストラップを足に引きずった状態じゃ、歩きたくても歩けないぞ……)
子育てってこんなに大変だったのか!?
更に最悪なのが他の人には彼女が見えないということだ。きっと今の俺は、独り言を呟く動作が鈍いノイローゼ患者に見えることだろう。
彼女にしがみつかまれているのだから仕方がないだろ。俺はただ囁くようにあやすしかない。
レン:
よしよし、もう置いて行ったりしないって~。
さっきのは俺が悪かったよ。ごめんなさいするから。なっ?
そう言って、彼女におどけたような顔をした。
誰かに空気に向かって目配せしているのを目撃されようものなら、絶対に甲板の隙間に潜り込んでやる。
星尘は少し落ち着いたようで、俺を抱きしめると顔を上げた。目をぱちくりとさせると、頭上の耳が光り出した。
星尘:
じゃあ約束して、私とあの方向に行ってくれるって……。
ほんとに、ほんとーにすごく重要なことなの………。
…………
もしかしてさっきまでのは泣いたふりだったのか?
レン:
(やっぱ子供って難しいな……)
マリルが同意してくれるかもわからないが、俺はこんな小さい奴を連れてあんな危ない所に行くのか。
突如、イヤホンから電流音が聞こえた。マリルが接続を再開したのだ。
マリル:
レン、アニー、お前達はマサダブルクについてどれくらい知っている?
レン:
うーん……
アニー:
大まかにしか……
頑張って思い出そうとしているが、SIDのエージェント研修の授業でもマサダに関する情報はバラバラになっていた。
アニー:
第三学園都市で、西アジアの腹地にある城塞都市。内外の市街地との間には数十メートルの分離壁で分断されているのよね。
レン:
それって種族とか宗教矛盾とかが原因なんだよな?
特にマサダ外城区は危険なようで、毎月1~2件程の爆発テロが起きているそうだ!
アニー:
彼らの情報機関―――マサダ復興使命局は軍が直接制御していて、大胆かつ急進的なの。
レン:
あ、それなら俺もわかる。その機関って『マノーラ』と呼ばれてるんだっけ?
それは映画やゲームにもよく登場する名前で、メイン陣営となることは非常に稀なのだ。
レン:
そうだ、あいつらの武器って先進的なんだよな。ゲーム中のマサダはプレイヤーにリモコンタンクとかドローンの提供担当していたぞ。
マリル:
よし、そこまでだ―――
あの地域の地政学的な環境は複雑でな。それに加えレジスタンス軍と分裂組織で更に混乱している。
ただしマサダの『内城区』に限るのなら、その安全性は新豊洲に劣らない。つまり―――
レン:
へっ?まさか……同意するっていうのか?
ずっと俺の太ももを抱いている星尘は、少し楽し気にゆらゆらしていた。
アニー:
私達二人だけって………大丈夫なの?
三人!三人だから!ここに足引っ張ってる奴*2がいるから!!!
マリル:
これは諜報活動ではないし、今は具体的な目的地も不明確だ。お前達は身分不相応なマネをしなければいい。
愛衣:
それに船を変える必要もないしね。そのカジノ船は明日の朝にはマサダ港に停泊するからね~。
アニー:
……どういうことなの?サモントンに行くんじゃなかったの?
マリル:
マサダは三日後にレジスタンス組織と停戦協定に署名しなければならない。署名式が完了するまではスエズ運河は全面封鎖される。
カジノ側は乗客の安全を考慮し、マサダ軍の"熱烈なアドバイス"に従ってエイラート*3に戻る事にした。
この船は紅海-死海大運河を北上し、スエズ運河の封鎖が解除されるまでマサダ港に寄港する。
アニーの偽装用身分は新豊洲芸術交流プロジェクト*4の学生だ。既に手続きも終わっている。
そしてレンだが―――お前の偽装用身分は既にマサダ海防に登録されている可能性が高い。だから引き続きナースさんをしてもらおうかな~。
マリルの言葉から少しイヤな笑みを感じた。
レン:
えっ!??
愛衣:
とにかく君たちは協定に署名されてからのアクションだね。この二日間は城内観光かな~。
マリル:
もしその子が行きたいという場所が市街の外だというのなら、私が三日後にそこの情報局の人間に対応するよう手配しよう。
レン:
スエズ運河まで封鎖されていたのか……。
協定に署名するだけなのに………そんな大事にしちゃうのか?
爱衣:
因为......因为事态已经很严重了呀―――
莉琉:
你们这两天一直在船上,还不知道吧?
安妮:
怎、怎么回事......?
愛衣:
それはだね……
事態がより深刻になったからなのさ―――
マリル:
お前達はこの2日間ずっと船に乗っていたからな。まだ知らないか?
アニー:
ど、どういうこと?
莉琉:
十几个小时前,马萨达境内希伯仑市的易卜拉清真 寺附近发生了一起工业化学品爆炸事故。
爆炸的冲击波造成了附近建筑一定程度的垮塌,同时破坏了电力、供水和燃气系统。
根据官方的说法,目前那一带的居民已经全部被疏散到安全区了。
小怜:
又是恐怖袭击?爱衣:
易卜拉清真寺下面的麦比拉洞,是传说中马萨达人先祖的墓穴。
而且奇怪的是,官方虽然给出了合乎情理的人员伤亡报告,但消息的封锁过于严密了.......
网上连附近居民拍摄的录像都找不到,关于这条新闻的页面全都是马萨达官方提供的照片和视频。
莉琉:
同时希伯伦市内几家大型医院的电子系统全都出现了故障,急诊记录大面积丢失。
爱衣:
事故发生后,马萨达方面几乎立刻回绝了世界遗产组织对麦比拉洞窟遗迹进行协助抢救的提议。
安妮:
这么明目张胆的情报控制,确实像『摩诺拉』的风格......可他们为什么要封锁信息?
莉琉:
可能是不想事态变得更复杂吧―――
从卫星图像分析,那大概率是由小型火箭弹引起的爆炸。
小怜:
是抵抗军?可他们不是快签停火协议了嘛......
爱衣:
抵抗军领袖立刻在社交账号上表示这次事件与他们无关,还表示了遗憾和谴责。
目前情报组猜测这次袭击可能是抵抗军内部某个分支派系发动的,那群家伙从来都不是铁板一块吶~
虽然领导人希望停火,但内部的极端分子并不希望达成这个协议吧?
莉琉:
或许是的,但这些都只是推测,而这三天毫无疑问 是第三学园都市最敏感的时期―――
相应的,马萨达的安防等级也达到了最高,你们在内城区比在公海上更安全。
今晚好好休息吧,明天等你们到港口再联络。
小怜:
好的!
安妮:
明白~
说罢,莉琉切断了与船上二人的连线,目光移向大 屏幕上一位红衣女性的视频图像。
秋子:
..........你也觉得不大对劲吧?莉琉:
是啊,这份协议宣布得太过突然了―――
上周,马萨达政府发言人突然宣布,将在十天内与抵抗军签署停火协议。
虽然各国政府和媒体一致赞扬,而且裁军停火确实也是大势所趋。
―――但这份协议还是显得太急躁了。
秋子:
确实,不像施恩内曼总理谋定而后动的风格。
爱衣:
是因为他的病情恶化超过预期吗......?
上次和平论坛之后到现在,施恩内曼总理还一次都, 没在公开场合露过面呢~
莉琉:
或许不止这一个原因―――
马萨达国防军内部的矛盾应该快要无法弥合了。
在人员和预算都面临大幅缩减的时候,军功派的军官们和那帮搞技术的撕破脸只是时间问题。
秋子:
国防军内部学院系统出身的技术派和在前线拼杀获得功勋的军功派的争夺吗………
莉琉微微点了点头。
莉琉:
而马萨达至今也没确定,会由谁作为代表来签署这份历史性的协议。
能在全世界的关注下领取这份不世之功的人,有极大概率在之后的选举中胜出吧?
秋子:
必然.......
秋子好像忽然明白了什么,轻轻发出一声“啊”。
秋子:
马萨达不希望签署仪式被这次袭击影响,所以才声 称这是化学品爆炸事故吗.........
莉琉:
喷喷,你内心动摇的样子还是这么可爱呢~
秋子:
(小声)......变态。
秋子脸颊微红,轻轻咳嗽了两声。
秋子:
那你找到了吗?
———上次说的合适的『人选』。
莉琉摇了摇头。
莉琉:
要是这么简单就能找到的话,施恩内曼老爷子也不会坚持到现在还不退休了吧......
……
マリル:
十数時間前、マサダ境内ヘブロン市*5のアブラハム・モスク*6付近で工業化学品の爆発事故が発生した。
爆発の衝撃波は付近の建物をある程度まで崩壊させ、同時に電力に給水、ガスシテムも破壊していった。
当局によれば、現在その一帯の住民全員は安全区に疎開されているとのことだ。
レン:
またテロなのか?
愛衣:
アブラハム・モスクの下にあるマクペラの洞穴*7は、マサダ人の祖先の墓だと言い伝えられていてね。
そして奇妙なことに、当局は何とも月並みな死傷者報告を出したんだ。だというのに情報封鎖はかなり厳密に行っている……。
ネット上では近隣住民が撮影した動画も見つからない。このニュースに関するページにあるのはどれもマサダ公式が提供した写真や動画ばかりなのさ。
マリル:
時を同じくして、ヘブロン市内のいくつかの大型病院の電子システムが全て故障し、急診記録のほとんどが紛失した。
愛衣:
事故後、マサダ側は、世界遺産機構*8のマクペラ洞穴遺跡の救助協力をほぼ即座に拒否しているんだ。
アニー:
そんなあからさまな情報統制、いかにも『マノーラ』らしいけど……。どうしてそんなに情報封鎖をしたいの?
マリル:
事態をより複雑にしたくないのかもしれないな―――
衛星画像の分析からするに、この爆発は高確率で小型ロケット弾によるものだ。
レン:
レジスタンス軍ってことか?でもあいつらだってぱぱっと停戦協定に合意したじゃないか……。
愛衣:
レジスタンス軍指導者はすぐにSNSアカウントで今回の事件は自分達と関係ないと表明したよ。それと遺憾と非難もね。
情報班は、今回の襲撃をレジスタンス軍内部にある分派がやっちゃったんじゃないかと推測しているよ、あいつらも決して一枚岩じゃないからねぇ~。
指導者が停戦を望んでたとしても、内部の極端な奴はこの合意達成には不服なんじゃないかな?
マリル:
そうかもしれないが、これらは推測に過ぎない。いずれにしてもこの三日間は間違いなく第三学園都市にとって最も過敏な時期だ―――
そのため、マサダの警備レベルが最高まで達している。お前達も公海より内城区の方が安全なのさ。
今夜はゆっくり休め。そして明日港に着いてから連絡してこい。
レン:
わかった!
アニー:
りょうか~い。
話が終わると、マリルは船上の二人との接続を切断した。そして大スクリーンに映った赤い服の女性の映像に目線を映した。
秋子:
…………貴女も何か変だと思うのね?
マリル:
そうだな。この合意はあまりにも突然の発表だ―――
先週、マサダ政府のスポークスマンは突然、10日以内にレジスタンス軍と停戦協定に署名すると発表した。
各国政府とメディアは一同にして賞賛しているが、それは軍縮停戦の流れが間違いなく大勢であったからだ。
―――とはいえこの合意はやはり性急すぎるな。
秋子:
間違いなく、シャイネルマン首相は策謀して後ろから操るようなタイプではないわ。
愛衣:
彼の病状が予想以上に悪化したからとか………?
前回の平和フォーラムの後から今の今まで、シャイネルマン首相はまだ一度たりとも公の場に顔を出していないよね~。
マリル:
それだけではないかもしれんな―――
人員と予算が大幅に削減される時点で、武闘派の将校達と技術者連中との決裂は時間の問題だった。
秋子:
国防軍内部学院システム出身の技術派と前線で戦功を挙げた武闘派との争いってことね……。
マリルは小さく頷いた。
マリル:
そしてマサダは今もなお、この歴史的な合意に誰が代表として署名するのかが決まっていない。
世界中の注目を集め、この不世出の功を享受出来る者は、その後の選挙でも極めて高い確率で勝ち抜く事が出来るのではないか?
秋子:
必然的に……
秋子はふと何かを理解したかのように、”あっ”と小さく声をあげた。
秋子:
マサダは署名式が今回の襲撃の影響を受ける事を望んでいないわ。だから化学品爆発事故なんて主張をしたのかしら………。
マリル:
くくく、やはり秋子の動揺している様子は可愛いな~。
秋子:
(小声)………変態。
秋子は頬を赤く染め、数回咳払いをした。
秋子:
あれは見つかったの?
―――前に話した適切な『人選』は。*9
マリルは首を横に振った。
マリル:
そんな簡単に見つけられるのなら、シャイネルマンの爺さんもいまだに定年退職を迎えられないなんてこともなかっただろ……。
……
第二天上午,8点40分。
『自由之星』号赌船,VIP餐厅。
贵宾餐厅位于船舱的顶层,这里虽然面积不大,但视野绝佳。
窗外阴云密布,深沉的海面似乎酝酿着某种不祥的灾厄。
或许因为大多数客人都被昨晚赌场不限量的免费酒水灌晕,此时餐厅内只有我们一桌客人。
我望着窗外发呆,那片深蓝色的海面就是联通着红海和死海的马萨达运河。
这条运用异质物技术,由第一和第三学园都市联合修建的运河长180公里,
两端海拔落差达430米。从亚喀巴湾北端的埃拉特港,一路通往到死海西南岸的马萨达堡。
作为马萨达的生命线,这条运河从规划之初就伴随着与周边众多小国的冲突和纷争。
安妮:
前面就是最后一道船闸了吧? 好厉害的工程吶.........
安妮在手机上找到了关于这条运河的纪录片,拉着我一起看。
翌日の午前、8時40分。
カジノ船『自由の星』号、VIPレストラン。
貴賓レストランは船室の最上階にある。決して広くはないが、見晴らしは抜群だ。
窓の外はどんよりとしていて、重々しい海面が何か不吉な災難を醸し出しているようだった。
多くの客が昨夜カジノで振舞われた飲み放題無料の酒に潰れているのかもしれない。この時間でもレストランには俺達の席にしか客はいなかった。
俺は窓の外をぼんやりと眺める。あの暗い青色の海面が、紅海と死海をつなぐマサダ運河だ。
第一・第三学園都市が異質物技術を駆使して共同建設した運河で、その長さは180キロメートル、標高差は430メートルもある。
アカバ湾*10北端にあるエイラート港から、死海の南西岸のマサダブルクへと向かう。
マサダの生命線として、この運河は計画当初から周辺の数多くの小国と衝突や紛争を伴ってきた。
アニー:
この先が最後の水門なのよね?すごい工事だったのね……。
アニーは携帯でこの運河のドキュメンタリーを見つけ、俺と一緒に見ていた。
小怜:
是啊,经理说昨天夜里咱们已经通过了三道落差超过一百米的巨型船闸.........中午前就能到了。
我拉了拉国际医疗救援组织派发的这件有些过分宽大的外套。
小怜:
(居然是均码......它们没有女款吗!?)
安妮:
你怎么里面只穿了件吊带裙和打底裤啊?
安妮有些玩味的打量着我。
小怜:
我没带那么多衣服啦!
我有些不好意思的拉了拉吊带裙,这件衣服本来是带来当备用睡衣的。
小怜:
(裙子下沿还有一小圈浅色的蕾丝,丢死人了!)小星尘:
吶吶......
小星尘扑过来握着我的胳膊说道。
小星尘:
这集看完了,帮我换下一集~
我从那个用餐巾布叠成的临时支架上拿过手机点了几下,然后放回她座椅面前的桌面上。
她就乖乖的趴在那饶有兴致的看动画片。
安妮:
这孩子不闹腾的时候还挺可爱的嘛......
安妮端详着手中那粒金平糖一样的小颗粒,将目光移向小星尘。
昨晚,我们发现只要接触一次这颗从赌船保险库里找到的金黄色颗粒状物体,就能看到小星尘。
但安妮无法像我一样摸到她,整体感觉就像在看立体投影一般。
安妮:
你能想到把这东西藏在那里从保险库里带出来。
我就不一定做得到呢......
安妮悄悄摸了摸胸口。
小怜:
只、只是因为那件礼服夹的比较紧啦......
安妮露出一个勉强的笑容,假装有被我安慰到。
昨晚汇报这个情况的时候,爱衣猜想星尘是以某种特殊形式存在的信息结合体。
而那颗金平糖模样的东西应该存储着小星尘的人格信息―――
若要类比的话,就像是人类的“灵魂”。
但这个灵魂却丢失了记忆,或许是由于年代久远或 其他什么因素,具体原因爱衣也无法确定。
我看着这个在桌面上津津有味的看着几十年前的搞笑动画的小家伙。
那部动画片我小时候也看过,印象还挺深的―――
剧情是主角和自己不太负责任的妈妈住在热带雨林里,有天一个奇怪的小女孩突然出现......
小怜:
(唉?这剧情怎么有点像.........)
安妮:
小怜,保险库的那枚陨石是四千年前坠落在地球上的吧?
安妮的话打断了我的思绪。
小怜:
啊是的,四千年前啊..........
是绳文还是什么时代来着......吓,历史课本的内容考完试就忘光不是理所当然的吗。
小星尘忽然被动画某个情节逗笑,没心没肺的笑了起来,耳朵上的灯也亮得此起彼伏。
安妮:
应该不是,你看她看动画片时候傻笑的样子,和你简直一个模子刻出来―――
有、有吗?
安妮:
我说.........小怜以前是男孩子吧?
小怜:
嗯?
安妮:
你之前有没有……就是……
对女生做过一些不负责任的事情啊?
这孩子跟你这么亲,会不会是你之前在外面......
小怜:
别、别乱讲啊!
我是男生的时候连初吻都没有过!!
安妮:
哦~?真的嘛?
小怜原来这么纯情吗~
安妮把脸凑近,一脸狐疑的看着我,我赶忙胡乱的转移话题。
小怜:
你、你看外面,那边的地平线...
我们从落地窗远望,东边的地平线上飘着一团诡异的暗红色云雾。
安妮:
那是……
小怜:
什么东西……
我和安妮看着远处那片异象面面相觑,小星尘则头也不抬的说道。
小星尘:
沙尘暴。
レン:
そうだな。支配人が言うには、昨日の夜に3つの落差100メートル超えの巨大水門を通過したみたいだから………昼前には着くかな。
俺は国際医療救援機構が配っているこの少しだぶだぶな上着を引っ張った。
レン:
(これで平均サイズって………レディースはないのか!?)
アニー:
どうしてレンちゃんはワンピースとレギンスしか穿いていないのかなぁ?
アニーは何か吟味するように俺を見ていた。
レン:
そんないくつも服を持ってないんだよ!
俺は少し恥ずかし気にワンピースを引っ張った。この服は元々予備のパジャマとして持ってきたものだ。
レン:
(スカートの裾に淡色のレースが一回りしちゃってるし、恥ずいいい!)
星尘:
ねっねっ……
星尘が飛び掛かって俺の腕を掴むと、何か話しかけてきた。
星尘:
あの話終わったから、次の話に替えて~
俺はナプキンを畳んで作った急ごしらえのスタンドから携帯を取り出し、何度かタップした。そして彼女の椅子の前のテーブルに戻してやる。
彼女は大人しくテーブルの上に突っ伏し、興味津々にアニメを観ている。
アニー:
この子、はしゃいでいない時は可愛いんだけどね……
アニーは手にした金平糖のような小さな粒を眺めると、星尘に目を向けた。
昨夜のことだ。このカジノ船の金庫から見つかった黄金色の粒子状の物体。あれに一度触れさえすれば星尘が見えるということを俺たちは発見した。
しかしアニーは俺のように彼女に触れるという事は出来なかった。全体的な感覚としては立体投影を見ているような感じとのことだ。
アニー:
レンちゃんはこの物体をあそこに隠して金庫から持ち出しのよね。
私に同じ事が出来るかどうか……。
アニーはそっと胸を触れた。
レン:
ほ、ほらあのドレスホルダー*11ってきつめだったから………
アニーは強張った笑みを浮かべ、慰められたように取り繕ってくれた。
昨夜これを報告した時、愛衣は星尘が何か特殊な形で存在する情報結合体であると予想していた。
その金平糖のようなものには星尘の人格情報が格納されているはず―――
類比するのなら、人間の”魂”のようなものだと。
しかしその魂が記憶を失ってしまのは、年代が古かったのか、あるいは他の要因のせいなのか。具体的な理由については愛衣にも特定できなかった。
テーブルの上で何十年も前のコミカルなアニメを楽しそうに見ているチビッ子を俺は見つめた。
あのアニメは俺も子供のころに見た事があるが、なかなか印象的だったな―――
主人公と少し無責任な母親が熱帯雨林に住んでいるのだが、ある日奇妙な女の子が突然現れて……*12
レン:
(ん?このストーリーって何かに似ているな……)
アニー:
レンちゃん。保管庫のあの隕石って四千年前に地球に落ちたんだよね?
アニーの言葉で俺は思考は打ち切った。
レン:
あ、ああそうだよ。四千年前かぁ………。
縄文時代っていつぐらいだっけ?………はんっ、歴史の教科書の内容なんてテストが終わったら忘れてしまって当然じゃないか。*13
星尘はアニメのとあるエピソードに笑いを誘われたのか、無邪気に笑っている。耳の明りもあちこちに灯っている。
アニー:
そうじゃなくって。彼女がアニメを観て笑っている感じって、レンちゃんにそっくりよ。
そ、そうか?
アニー:
ねえ………レンちゃん、男の子だったのよね?
レン:
うん?
アニー:
前にあったりしないよね?……その……
女の子に無責任なことをしちゃった、なんてこと……。
あの子がレンちゃんにこんなに懐いてるのは、レンちゃんが以前、他所の場所で……
レン:
い、いい加減なことを言わないでくれ!
男だった時、ファーストキスさえしていなかったんだぞ!!
アニー:
え~?ほんとにぃ~?
レンちゃんってそんなに純情だったの~?
アニーは顔を近づけ、訝し気に俺を見てきた。俺は強引に話題を逸す。
レン:
ア、アニー外を見てくれ。ほらあっちの水平線……
俺たちは窓から遠くを眺める。東の地平線には、不気味な暗赤色の霧と雲が漂っていた。
アニー:
あれって……
レン:
何なんだ……
俺とアニーは遠くの異常現象を見て顔を見合わせる。そして星尘が顔も上げずに話した。
星尘:
砂塵嵐だよ。
*1:イスラエルとヨルダンの国境に位置する死海。塩分濃度が高い湖で、一般的な海水の10倍ともいえるその濃度は生物が住むことが出来ない死の海となっている。しかしここでとれる泥はミネラルが豊富で美容効果が抜群と有名。その歴史は古く、かのクレオパトラもこの死海泥に魅せられていたと言われている。
*2:原文は拖油瓶。いわゆる俗語で、こぶつきの女性が抱えている前夫の子供を指す。又は女性そのものを指す場合もあるとか。
追記:現在は"足を引っ張る"という意味も加わっているそうです!物理的にも足引っ張ってますね。
*4:CHAPTER.3で出てきた用語。サモントンが度重なる位相空間異変の打開策を模索するため、新豊洲市への視察を決めた。その際に掲げられた名目というのが"芸術交流"であった。ラファエルが新豊洲市に訪れたのも、この視察団の一員としてだった。今度は新豊洲がその名目を利用する形。
*5:パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区南端のヘブロン県の県都。 エルサレムの南に位置するユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地の一つ。
*6:マクペラの洞穴境内にあるモスク。このモスクはキリスト教徒が建てた教会をイスラム教徒がモスクとして改修したという経緯がある。
中にはアブラハムの記念碑がある。アブラハムは旧約聖書、新約聖書、コーランに登場する、アラブ、ユダヤ人にとっての人類の祖。
*7:ユダヤ教の伝承、並びに旧約聖書の『創世記』において、「民族の父母」と呼ばれているアブラハム、サラ、イサク、リベカ、ヤコブ、レアの六人が埋葬されているとする地。ユダヤ教徒やキリスト教だけでなく、イスラム教徒からも神聖視されている。
*8:ヘブロン市の旧市街は2017年に世界遺産に登録されている。
*9:黙示録でランバート交わした取引を指していると思われる。シャイネルマン首相の後継者を軍出身以外の者から選ぶという話。
*10:紅海の北奥、シナイ半島の東側にある、南北に細長く伸びる湾。地学的には、紅海から続く大地溝帯の一部であり、さらに死海へと連なっている。
*11:ホルダーネック(首で全体を支えるタイプ)のドレスにおいては主に首部分を指す。つまりレンちゃんの場合はここ。
ここが締まると必然的に胸元なんかもタイトになる。
*12:おそらく”ジャングルはいつもハレのちグゥ”だと思われる。ジャングルに住む少年「ハレ」が、正体不明の少女「グゥ」や友人・家族たちの奇行に振り回されるギャグ漫画。全体的に明るいノリだが、登場キャラクターの中にはシビアな過去を持つ者もおり、シリアスな展開となる話も多い。
*13:紀元前2千年紀にあたる。日本は縄文時代、中国は夏王朝が出来たぐらい。ここで中国の歴史を振り返るのではなく日本の歴史を振り返っているのは細かい。