【魔女兵器 翻訳】ACTIVITY.4_星尘降臨 PART.11 第11章_20191031修正
小怜:
马萨达国家博物馆......就是在这儿?
我拿着手机,确认自己已经到达了目标位置。
让我意外的是,这座国家博物馆的大部分展厅都设在半地下的空间内。
正门入口处矗立的黑色石壁,据称内部石材取自旧 都圣殿山西侧老城墙的废墟。石壁外严密包裹的黑色防辐射材料,似乎在默默诉说着那场浩劫带来的创伤和苦难。
整面墙就像一座巨大的墓碑,几位老人正站在墙下低头轻抚墙壁,不知是在悼念还是在祈祷.........
小怜:
是在这里登记吧......?
我用胸卡在场馆门口的无人柜台登录并完成了面部生物扫描。
这张胸卡是国际医疗救援组织的加密通证,专为经常出入交战区的医务人员设计。
除了存储个人信息和医疗记录,凭这个通证还能在全球范围内调用组织的通讯设备和救援物资。
甚至还预存了一笔离线电子货币,据说是用于被绑架时支付赎金......
小怜:
(一个实习护士根本用不着这些权限吧!)(莉琉真是的......)
总之别让我去执行什么危险的任务就好.........
……
レン:
携帯を持ち、自分が目標地点に到着したことを確認する。
驚いたことに、この国立博物館の大部分の展示室は半地下の空間内に設置されていた。
正面入り口に黒い石壁がそびえ立っている。内部の石材は、旧都の神殿の丘*1の西側旧外壁*2の廃墟から取ったものだという。
石壁の表面に厳密に張り巡らされた黒い放射能防護素材は、あの惨禍がもたらした傷と苦難をも黙々と訴えているようだ。*3
壁全体がまるで巨大な墓石のようだ。何人かの老人が壁の下に立ち、頭を下げ壁を撫でている。あれは追悼なのか、それとも祈りなのか……。
レン:
ここに登録すればいいのか……?
館の入り口の無人カウンターで胸のカードを使ってログインし、顔の生体スキャンを完了させた。
この胸のカードは国際医療救援組織の暗号化されたパスカードで、常に交戦区に出入りする医療関係者のために設計されたものだ。
個人情報や医療記録を保存するほか、組織の通信設備や救援物資を世界中で呼び出すことができる。
更にはオフラインの電子マネーもチャージされている。これは拉致された際の身代金支払いに使われるとか……。
レン:
(一介の看護実習生にこんな権限いらないだろ!)(まったくマリルは……)
とにかく俺に危険な任務をやらせなければいいんだよ……。
……
我顺着扶梯进入第一展厅,并不宽敞的空间内陈列着很多石刻浮雕。
那些清晰可见的风蚀痕迹,每一道都像是在讲述着遥远而沧桑的历史。
然而我对历史并不感兴趣,只是一边刷手机一边盘算着要如何度过这难熬的三小时。
小怜:
那个是.........讲解员!?
在AI合成语音设备如此普及的今天,我已经很久没见过真人讲解员了。
小怜:
(马萨达人口不是很稀缺吗......)
那是一位胡子花白的老者,大概六十多岁,头戴黑色小圆帽,西服领口别着工作证。
他耐心的引导大家领取折页传单,同时笑容慈祥的回应着每一个向他询问的人。
我有些好奇的凑了过去,他正在给几位游客介绍博 物馆的历史―――
讲解员:
虽然很多珍贵的文物,都和原本的国家博物馆一起在战争中损毁了。
但这座新博物馆近些年收藏了很多西亚和非洲的珍贵文物,使它们能够免遭战火的蹂躏......
小怜:
(就是从人家那儿抢过来的吧!)
不过目前世界上大多数珍贵历史文物都由六大学园都市保管,这种事也见怪不怪了。
我注意到他在声情并茂的讲解时,左手一直插在西服口袋里。
小怜:
(可能是某种特殊的宗教习惯吧.........)
我环视四周,好在今天不是安息日,参观者并不算多,而且场馆内也没有医疗组织的其他成员。
NGO成员进行“参观学习”的必要流程是首先在历史和文献馆停留三十分钟以上。
我百无聊赖的闲逛,视线不禁被同场参观的几个当地人和十几个小孩吸引住了。
那群人里两个四十多岁的男人最是抢眼——他们都蓄着大胡子,两鬓的头发梳成了奇怪的小辫。
二人统一身穿白衬衫和黑色及膝外套,头上戴着黑色平顶卷檐帽,像是来自某种奇怪的组织。
那十几个小孩跟在男人周围,无论男生女生都穿着同样款式且只有黑白两色布料的衣服。
小怜:
(是附近学校组织参观吗?) (不过这学校的年级跨度有点大啊.........)
那群小孩从三四岁到十来岁均匀分布,最小的路都走不稳,而年龄稍大的几个孩子则在叫喊打闹。
人群后面,默默的跟着两位身材松垮面容憔悴的中年妇女。
小怜:
(那两个不会是老师吧.........)
(怎么其中一个还推着婴儿车?)
真是奇怪的组合.........
历史馆的参观很快就结束了,讲解员开始带着大家前往文献馆。
他调整了下夹在衣领上的麦克风,清了清嗓子―――
讲解员:
接下来,我将带各位参观本馆最重要的展品。
下一个展厅禁止拍照,请大家收起手机,跟随我进入圣书之龛。
听到这话,那群打闹的小朋友立刻安静了下来,同行的两个黑衣男人也变得表情肃穆。
我收起手机,满心好奇的跟了上去。
手すり付きの階段に沿って第一展示室に入る。それほど広くない空間に多くの石材彫刻のレリーフが陳列されている。
そのはっきりとした風蝕の痕跡に、どれもが遥かな流転の歴史を物語っているみたいだ。
だがしかし俺は歴史になんて興味ない。携帯をイジりながら、このただ辛い3時間をどう過ごせばいいのか思案していた。
レン:
あれって……説明員さん!?
これだけAI合成音声機器が普及した昨今、俺は久しぶりに本物の説明員に会った。
レン:
(マサダって人口が少ないんじゃなかったのか……)
白髪交じりの髭をした老人で、60代くらいに見える。黒い丸い帽子*4をかぶり、スーツの襟に社員証をつけていた。
彼は折り込まれたビラを受け取るように根気強く皆に案内していた。同時に、彼を訊ねてきた人に対しては、笑顔で優しく答えている。
俺もちょっとだけ好奇心に駆られる。彼は何人かの観光客に博物館の歴史を紹介しているところだった―――
説明員:
多くの貴重な文化財が、元の国立博物館と共に戦争によって破壊されました。
ですが、この新博物館では近年多くの西アジアやアフリカの貴重な文化財を収蔵し、戦火の蹂躙から逃れられるようにしたのです……。
俺はビラの裏に印刷されていたエジプトのミイラと青銅の仮面を見た。
レン:
(余所から奪ったんだろ!)
しかし世界の貴重な歴史的文化財の多くが六大学園都市で保管されているのは、何らおかしい事ではない。
そこで俺はある事に気付く。彼は熱心に説明している時も、左手をずっとスーツのポケットに入れているのだ。
レン:
(何か変わった宗教習慣なのかな………)
周囲を見回す。幸い今日は安息日ではなく見学者も多くなかった。それに施設内には医療組織の他のメンバーもいなかった。
NGOメンバーが”見学”を行うために必要なプロセスとして、まず歴史館や文書館に30分以上滞在しなくてはならない。
俺は退屈気ににぶらぶらしていたが、同じ場所を見学していた数人の地元の人と十数人の子供たちに目を奪われた。
そのグループの中でも二人の四十代の男が一番目立っていた―――彼らは髭をたくわえ、もみあげが奇妙な三つ編みとなっていた。
二人は白いシャツと膝まである黒いコートを着て、頭には黒いシルクハットを被っている。まるでどこか怪しい組織からきた人みたいだ。*5
十数人の子供達は男の周りをついてきていて、男女問わず同デザインの白黒二色の布地だけの服を着ていた。
レン:
(近くの学校の集団見学とかか?)(でもこの学年の年齢幅、やけに広いような………)
その子供達は三、四歳から十代まで均等に分布していて、一番小さい子は歩くのも危なっかしいが、少し年上の何人かはわめき騒いでいる。*6
その人々の後ろを、ただ黙々とやつれた顔をした二人の中年女性が続いた。
レン:
(あの二人は先生じゃないかな………)
(でもどうして片方はベビーカーを押しているんだ?)
本当に奇妙な組み合わせだな……。
歴史観の見学はすぐに終わり、説明員は皆を連れて文書館に向かった。
彼は襟元に挟んだマイクを調整し、咳払いをした―――
説明員:
それでは、当館で最も重要な展示品をご案内します。
次の展示室では写真撮影は禁止されています。携帯電話はしまっていただき、私に付いて聖書の壇に入ってください。
それを聞いた途端、暴れていた子供達はすぐに静かになり、同行していた二人の黒衣の男も厳かで恭しい表情となった。
俺も携帯をしまって、好奇心からついていく。
讲解员扫描掌纹信息后,历史展厅的一扇玄武石大门缓缓打开,露出后面幽长的石质走廊。
我和二十多位参观者鱼贯进入,好像被某种庄重的氛围所感染,所有人小心翼翼一言不发。
……
説明員が掌紋情報をスキャンすると、歴史展示室の玄武石の門がゆっくりと開いていく。その後ろに石質の冷ややかな廊下が露わとなっている。
俺は20人以上の見学者と一緒に入る。何か重厚な雰囲気に感染したのか、誰もが一様に慎重となって黙っている。
……
小怜:
这是......
走廊末端连接着一个造型奇异的空间。
圣书之龛的展厅呈正圆形,规则等距的环状条纹从 墙壁一直蔓延到顶部的天窗。从天窗射入的光线落在正中的展台上,让这里的环境显得静谧而神圣。
整个空间被设计得像是一个陶罐,周围的墙壁也采用了类似陶土质地的材料。
石阶上经筒样式的圆形展台内,陈列着一卷发黄斑驳的古老羊皮卷。
我拾级而上凑近观察,展台外层的防护玻璃目测至少五厘米厚,经卷上的希伯来字符大多清晰可见。
レン:
これは……*7
廊下の端は奇妙な形をした空間に繋がっていた。
聖書の壇の展示ルームは正円形で、等間隔のリング状の模様が壁から天井にある天窓に向かって規則的に広がっている。
天窓からの光が真ん中の台座に落ちていて、その周囲を静謐で神聖なものにしている。
空間全体がまるで陶器の壺のようにデザインされていて、周囲の壁も陶土のような素材が使われている。*8
石段には筒形の円形ブースがあり、黄色く色褪せまだら模様となった古い羊皮の巻物が陳列されていた。
俺は階段を上り近くで観察する。ブースの外側にある防護ガラスは目測でも厚さ5センチほどあったが、経巻のヘブライ文字の多くがはっきりと見えていた。
小怜:
难道这就是―――
就是那部动画里出现过的那个那个......
讲解员:
这是在死海西北侧山洞中发现的古代文献,被称为上个世纪最伟大的考古发现的『死海古卷』。死海古卷规模非常浩大,包含从12个洞穴中发掘出的五百多份文书―――
而现在展柜中的这份,正是死海古卷中『摩西五经』《创世纪》的部分稿页。
它记载了神创世的过程以及如何选择马萨达人成为的自己选民,是这个国家最重要的历史文物。
说来,马萨达人好像一直自诩为神的选民吧.........
不过我向来对这种宗教故事不感兴趣―――
全世界的民族有一个算一个,谁家没几个当神仙的祖先啊......
但几个本地游客显然不这么认为,那两个戴着奇怪 帽子的大叔更是立刻面向展柜祷告了起来。
讲解员用他低沉而慈祥声音接着说道。
讲解员:
这段书稿记录了先祖亚伯拉罕、以撒、雅各和他十二个儿子的故事。
レン:
もしかしてこれって―――
あのアニメにも出ていたあの、あのあのあの……*9
説明員:
これは死海の西北側の洞窟で発見された古代文献で、前世紀において最も偉大な考古学的発見とされている『死海文書』です。
死海文書のスケールは非常に大きく、12の洞窟から発掘された500余りもの文書が含まれています―――
そして今このケースにあるのは、死海文書の『モーセ五書』《創世記》の原稿の一部です。
天地創造の過程と、マサダ人がどのようにして選ばれた民となったのかが記されており、この国の最も重要な歴史的文化財となります。
そういえば、マサダ人ってずーっと昔から神に選ばれた民って自慢してきたんだっけ……
でも俺、宗教的な話には興味ないんだよな―――
全世界の民族どれにしたって、神様を祖先としているなんてそうそうないよな……
しかし何人かの地元観光客は明らかにそう思わなかったようで、変な帽子をかぶった二人のおじさんは、すぐにショーケースに向かってお祈りをした。
説明員は彼のその低く優しい声で続ける。
説明員:
この原稿には先祖アブラハム、イサク、ヤコブとその十二人の子供たちの物語が記されています。
讲解员:
亚伯拉罕是诸多宗教的先知,还是希伯来人和和阿拉伯人的共同祖先。亚伯拉罕是上主从众生中选并给予祝福的人。
神曾与亚伯拉罕立约,应许将一片丰沃的土地赐予他的嫡子、嫡孙以及嫡孙所延续的后代。
这片土地从尼罗河延续至幼发拉底河,就是今天我们所说的『应许之地』。
后来亚伯拉罕生嫡子以撒,以撒生嫡子以扫,他的次子叫做雅各...
小怜:
(等等……雅各?)
伊露卡原来那个管理员不就叫这个名字吗!
不过西方人确实喜欢用宗教经典中的角色为自己的子女命名......
讲解员顿了顿,扶起老花镜继续讲解古卷上内容。
説明員:
アブラハムは多くの宗教において預言者であり、ヘブライ人とアラブ人の共通の祖先です。
またアブラハムは会衆の中から主に選ばれた、祝福を与えられた人でもあります。
神はアブラハムと誓約を交わし、その嫡男、嫡孫とその子孫に広大で豊沃を地を与えることを約束されました。
この土地はナイル川からユーフラテス川まで続いており、今日でいう『約束の地』のことであります。
その後アブラハムは嫡男イサクを産み、そのイサクは嫡男エサウを産みました。そしてイサクの次男はヤコブと言います……。
レン:
(待てよ……ヤコブだって?)
イルカの元管理人の名前じゃないか!
でも確かに西洋人って、宗教聖典に登場するキャラで自分の子供を名付けるの好きだよな………。
説明員は言葉を切ると、老眼鏡をかけ古文書の内容を説明し続けた。
讲解员:
根据经文中的记载,以撒的次子雅各曾用一碗红豆汤买下了哥哥以扫的长子权。
根据亚亚伯拉罕与神的契约,获得长子权的雅各就拥 有了『应许之地』的合法继承权。
雅各后来成为了马萨达的圣祖,他的十二个儿子就是马萨达各支派的十二先祖......
听到这里,我感到脑袋有些发胀。
等一下.........红豆汤是什么鬼!?古人这么随便的吗?
而且这么说的话,所有马萨达人都是那个雅各的后裔啊.........
讲解员沿环形的展台向前走了两步,端详着书卷末尾的文字继续说道。
讲解员:这里是《创世纪》结尾的部分―――
圣祖雅各的一生充满传奇,他曾梦见天堂之门,听见神重申对他祖父的誓约。
雅各晚年住在埃及地十七年,在他死前,找来了自己的儿子约瑟......
雅各要儿子起誓,必要将他带出埃及,葬在迦南地希伯仑的麦比拉洞。
那是当年由亚伯拉罕买下,安葬着雅各的父母和祖父母的家族墓地。
文稿就在这里截止。
説明員:
聖書によれば、イサクの次男ヤコブは、兄エサウの長子権をレンズ豆のスープ一杯で買い取ったとされています。
アブラハムと神の誓約により、長男の権利を得たヤコブは『約束の地』の合法的な相続権を持つようになりました。
ヤコブは後にマサダの聖祖となります。彼の十二人の息子がマサダの各部族の十二部族の祖なのです……。*10
ここまで聞いて、少し頭がパンパンになってきたのを感じる。
ちょっと待て………レンズ豆のスープってどういうことだよ!?古代人の気は確かか?
それに、つまりは、全てのマサダ人はそのヤコブの末裔ってことなんだよな……。*11
説明員は円形ブースに沿って2歩前に進み、巻末の文字を眺めながら続けた。
説明員:
これは《創世記》の終わりの部分です―――
聖祖ヤコブの生涯は伝説に満ちていました。彼は天国の門を夢で見ると、神が彼の祖父への誓いを重ねて表明するのを聞きました。*12
ヤコブは晩年、エジプトの地に17年間住んでいました。彼は死ぬ前、自分の息子であるヨセフを探していたのです……。
ヤコブは息子に誓いを立てさせていました。それは彼をエジプトから連れ出し、カナンの地((地中海とヨルダン川・死海に挟まれた地域一帯の古代の地名。約束の地と同義語。))ヘブロンにあるマクペラの洞穴に埋葬しなくてはならないというものです。
そこはアブラハムが購入し、ヤコブの両親と祖父母が埋葬されている家族墓地なのです。
原稿はそこで終わっていた。
小怜:
(麦比拉洞......这个名字怎么有点熟悉)
昨晚爱衣的简报里似乎有提到过...是不是前两天发生过什么爆炸?
哎呀记不清了,反正这些外国的人名地名听起来都差不多......
讲解员轻抚着展柜的玻璃,低声感叹。
讲解员:
马萨达是个历史悠久的民族,也很重视考古发掘。
从第一份古卷被发现的那天,『死海古卷』的发掘 和复原工作已经持续了八十多年。
那是我们祖先宝贵的遗产,也是我们的根源。
然而......
讲解员走下楼梯,来到展厅一侧的巨幅油画处。
レン:
(マクペラの洞窟……どうしてかこの名前だけは聞き覚えがあるな)
昨夜の愛衣のブリーフィングで言っていたような……たしか二日前に何か爆破したんじゃなかったか?
あぁ、もう覚えてないな。とにかく外国の人名とか地名って、どれも似た感じに聞こえるんだよな………。
調査員がショーケースのガラスを撫でると、低い声で呟いた。
説明員:
マサダは歴史の長い民族です。そのため考古発掘も重視しています。
最初の古文書が発見された日から、『死海文書』の発掘・復元作業は80年以上続いています。
それは私達の祖先の尊い遺産であり、私達の根源でもあるからです。
しかし……
解説員は階段を降りると、展示室側の巨大な油画のところに来た。
他在油画前意味深长的驻足凝望了许久。
这幅油画篇幅宏大,几乎占据了一整面墙。
讲解员:
然而我们的历史,也充满了苦难。
他转过身来,嘴角微微抽动了一下,好像在极力压抑着某些痛苦的回忆。
讲解员:
这幅画是根据公元一世纪的历史学家弗拉维奥·约瑟夫斯的著作创作而成。
当时强大的罗马帝国征服了圣城,一百多万马萨达先民被军团士兵屠戮。
而这幅画,讲述的就是第二圣殿被点燃的那一天。
那是马萨达历史上最悲伤的日子......然而这只是上千年苦难的开端。
公元七十年,我们的先祖被罗马人大批的从犹地亚流放出去。
不甘心被逐出故土的人打算奋起反抗,其中一千多名起义军,将当年的马萨达作为了最后的堡垒。
他们坚守在这座城池,在罗马人的围困下固守了足足两年,直到水源被断再无余力。
当第十军团终于破城而入时,他们的总督看到的仅 仅是九百多具尸体和被烧毁的建筑―――
守城将士因不想屈从成为罗马的奴隶而全部选择自杀,最后仅有两个大人和五个小孩活了下来.........
我想象着当时的画面,感到有些揪心。
讲解员沉默许久,转过身来面对我们继续说道。
彼は油画の前で意味深に足を止め、長いこと眺めていた。
油絵は壮大なもので、壁一面をほとんど占めている。
説明員:
しかし私達の歴史は、苦難に満ちていました。
彼が振り返ると、その口元はかすかに動いていた。まるで何か辛い記憶を極力抑えようとしているようだ。
説明員:
この絵は紀元一世紀の歴史家フラウィウス・ヨセフスの故事をもとに作られたものです。
当時強大なローマ帝国は聖城*13を征服しました。これにより百万以上のマサダの先民が軍団兵士に虐殺されたのです。
そしてこの絵は、第二神殿*14に火が放たれた日を描かれています。
それはマサダの歴史において最も悲しい日といえるでしょう………しかしこれは千年の苦難の始まりに過ぎませんでした。
紀元70年、私達の先祖の多くはローマ人によってユダヤ*15の地から追放されました。
悔しくも故郷から追われた者達は抵抗しようとします。その中の1000人余りの蜂起軍は、その年にマサダを最後の砦としたのです。
彼らはこの城を堅守し、ローマ人に包囲されながらも2年も立てこもりました。しかし水源が断たれるまで常に余力はありませんでした。
第十軍団*16がついに城を突破して入っていった時、彼らの提督が目にしたのは900以上の死体と焼失した建物だけでした―――
城兵はローマの奴隷になることに抵抗し、自らの命を絶ったのです。最後に2人の大人と5人の子供だけが生き残りました………。
当時の場面を想像し、思わず胸が締め付けられるような気がした。
説明員は長い間黙っていたが、振り返って俺たちに向かい話をつづけた。
讲解员:
我们曾一次又一次的被逐出故土,被赶出自己的家园。
我们不断的被征服、被统治、被排挤、被屠杀,被作为奴隶、囚徒、甚至牲畜对待......
一个世纪前,在那场人类史上罕见的惨绝人寰的种族清洗中,我们六百万同胞惨遭屠戮。
而在十年前,我们的首都再次化为焦土,圣殿山被紫色的烈焰焚烧了七天七夜........
很多人——我的家人和朋友,都在那场浩劫中失去了生命。
而侥幸活下来的人,可能失去的更多.........
他声音有些颤抖,将插在口袋中的左手举了起来。
我们这才看见,那只手已被金属义肢代替,从袖口露出的手腕和小臂上遍布着烧伤的瘢痕............
全场都陷入了沉默,我也不由屏住呼吸。
人群中一位来旅游的小女生双手捂着嘴,泪水在她的眼眶中打转。
讲解员却将那只手攥成拳头高高举起,注视着我们用坚定的声音说道―――
讲解员:
然而就像那一千名死守城池的战士一样,苦难从来不会让我们屈服。
他的声音并不洪亮,却满怀豪情气魄,让人感到心中充满了力量。
他眼神发着光,就像看到了神灵在指引着方向。
讲解员:
我们曾经历过两次大流散,但最终,我们都会再回 到这片土地,因为苦难绝不会让我们屈服―――
九十年前,我们的先辈便冒着枪林弹雨,只为再次回到这里,建立属于我们自己的国家。
尽管这只是一片贫瘠的沙漠,尽管当时连淡水都难以供应,但这里是我们的家!
这片土地上流淌的不是奶与蜜,而是我们的鲜血、 眼泪和汗水。
这是我们在这个世界上唯一的故乡,更是马萨达人几千年来的心灵家园。
『应许之地』是我们先祖和神明的契约,也是我们对后世子孙的承诺―――
圣殿可以被烧毁,但精神的堡垒永远不会陷落!
最后,再次感谢大家来到马萨达国家博物馆,谢谢大家!
说罢,讲解员向大家鞠躬致意。
周围响起了经久不息的掌声,我也不禁对这个坚忍的民族感到敬佩,自发的鼓起掌来。
説明員:
私達は何度も故郷を追放され、自分の家を追い出されました。
私達は絶えず征服され、支配され、排斥され、虐殺され、奴隷、囚人、家畜として扱われました……。
一世紀前、人類史上稀に見る悲惨な民族浄化の中で、私達の600万人の同胞は虐殺されました。*17
そして10年前、私達の首都は再び焦土となり、神殿の丘は紫の炎に七日七晩も焼かれ続けました……。
あまりにも多くの人が―――私の家族も友人も、全てあの惨禍の中で命を落しました。
幸運にも生き延びた者も、更に多くを喪失したのかもしれません……。
彼の声は少し震えていた。そしてポケットに差し込まれていた左手を抜いた。
俺達はこの時になってようやく、彼の手が金属の義肢に代わっているのを目で捉えた。袖口から露出した手首と二の腕に火傷の傷跡が広がっている………。
会場は沈黙し、俺も思わず息を止めた。
集団の中、旅行で来ていただろう小さな女の子が両手で口を覆っていた。その目には涙が浮かんでいる。
解説員はその手を拳にして高々と掲げた。そしてしっかりとした声で俺達を見つめて話す―――
説明員:
しかし、城を死守した1千人の戦士のように、苦難がこれまでに我々を屈服させたことはありません。
決して大きな声ではなかったが、勇ましい気迫に満ちていて、心に力がこもっているような気がした。
彼は目を輝かせていた。まるで神が導く方向を目にしているかのように、
説明員:
私達は2度の大きなディアスポラ*18を経験しました。しかし最終的に、私達はまたこの土地に帰ってきたのです。苦難は決して私達を屈服できません―――
90年前、私達の先人は銃弾の雨の中立ち向かい、再びここに帰ってきました。そう、自分達だけの国を築くために。
ここは不毛な砂漠で、当時は淡水もろくに供給することも出来ませんでした。しかし、ここは私達の家なのです!
この地に流れるのは乳と蜜ではなく、私達の血と涙と汗なのです。*19
これが私達のこの世界におけるただ唯一の故郷で、更にはマサダ人の千年来の心の家なのです。
『約束の地』は私達の祖先と神との誓約であり、後世の子孫への約束でもあるのです―――
聖殿は焼失させることが出来ても、精神の砦を陥落させることは永遠に出来ません!
最後に、マサダ国立博物館にお越しいただき改めて感謝させてください。本当にありがとうございました!
そう言って、説明員は皆にお辞儀をした。
あたりはしばらく鳴りやまない拍手に包まれた。俺もこの忍耐強く頑張っている民族に敬服せずにはいられず、自発的に拍手をした。
离开文献展区,我开始在馆内漫无目的闲逛。
尽管刚刚很充实,但最低时间限制让我不得不在这里继续逗留两个半小时。
方才讲解员的那段演说像海底翻涌的暗流,一直索 绕在我脑中。
直到我走进一间光线明亮的半地下展厅时,才渐渐平复下来。
小怜:
(那个讲解员好像去迎接下一批游客了............)
(这么说来......他每天都要讲很多场?)
忽然一个念头闪过我的脑海―――
是啊,那位老人家的工作,就是每天不厌其烦的向 一批批参观者重复同一套说辞吧......
那么他的每次停顿、每个重音,他在展台间移动的路线,应该都经过了成百上千次的排练.........
甚至他插在口袋里的那只手―――
小怜:
.........是一开始就设计好的吗!?
我不禁感到头皮发麻,似乎有些明白昨晚莉琉连线 时说的那些话了......
莉琉:
想要维系全民兵役制,就必须把思想宣教渗透进社会的每个毛孔。
而最有效的洗脑手段,就是让人们为自己民族的历史感到屈辱和委屈―――
受伤的动物会自发的聚在一起,感到委屈的人会本能的想要报复......
你到时候自己感受一下就明白了~
我双手捂住太阳穴使劲摇了摇头,像个试图把脑子里的水倒出来的笨蛋。
小怜:
(还好我机灵,不然就被洗脑了~)
要不是经常被莉琉敲打,早就被洗脑了。
小怜:
(好像.........还是被小洗了一下.........)
就当没事发生,快给我忘掉啊!
其实仔细想想,“这块地是创世神划给我们家的”这种话怎么想都不太靠谱......
上位者离开自己统治的土地前,在地图上胡乱划上 几条分界线,然后拂袖而去―――
留下当地的民众,陷入无尽的纷争与苦难之中。
我看了看展厅角落陈列的那尊印度佛像―――
小怜:
(这种事,人类才更擅长吧.........)
我在博物馆里继续溜达,走进了一间昏暗的展厅。
文献ブースを出ると、俺は館内をあてもなくぶらぶらし始めた。
とても充実しているにもかかわらず、最低制限時間のせいで引き続き2時間半もここにいなくてはならないのだ。
先程の説明員の演説が、海底に渦巻く暗流のように、ずっと俺の頭の中をぐるぐるしてる。
明るい半地下の展示室に入っていくと、ようやく落ち着いてきた。
レン:
(あの説明員さんは次の観光客を迎えに行ったようだな……)
(そういえば……あの人、毎日何回も何回も話しているのか?)
ふと、ある考えが俺の頭をよぎる―――
そうだよ。あのおじいちゃんの仕事は、毎日飽きもせずに大勢の見学者相手に同じ言葉を繰り返すことなんだ……。
彼のその場その場のポーズ、アクセント、ブース間を移動するルート、それらは何百回もリハーサルをしてきたはずなんだ………。
ポケットに入れていた手だって―――
レン:
……最初から計画通りってことか!?
思わず背筋がゾクゾクする。昨夜マリルが言っていた意味が分かったような気がする……。
マリル:
国民兵役制を維持するには、思想と教育を社会の毛穴という毛穴に浸透させなければならない。
最も効果的な洗脳手段は、自分の民族の歴史に屈辱と悔しさを抱かせることだ―――
傷ついた動物は自発的に集まり、悔しさを感じた者は本能的に報復しようとする……。
お前もその時になって自分で感じてみれば分かるだろうな~。
俺はこめかみを押さえて大きく首を横に振った。さながら頭の中の水を出そうとする馬鹿みたいだ。
レン:
(頭が回っててよかった~。あやうく洗脳されるとこだったぞ。)
マリルにしょっちゅう打たれていなければ、とっくに洗脳されていた。
レン:
(やっぱり……ちょっぴり洗脳されてたのかも……。)
何もなかったと思って、さっさと忘れよう!
よくよく考えてみれば、"この土地は創造神が我が家に与えたものだ"なんて、どう考えても当てにはならないな………。
上位者が自分が統治している土地を離れる前、地図上にやたらいくつも境界線を引き、そして去っていく――
現地の民衆は残され、限りない紛争と苦難に陥っていく。
俺は展示室の隅に陳列されているインドの仏像を見る―――
レン:
(そんなこと、人間の方がよっぽど得意だろ……。)
俺は博物館の中を引き続きぶらぶらしていると、暗い展示室へと入っていった。
这里似乎是个工程类展区,墙上的投影讲解着红海死海大运河各节点的技术细节。
几个视频都是讲述果敢智慧的马萨达人如何克服重 重困难,终于完成了这样的超级工程。
或许因为才刚清空大脑,这种歌功颂德的宣教口吻让我有些排斥。
我想起昨天早上在赌船餐厅,安妮给我分享的大运河纪录片链接,页面底部有一个关联视频―――
内容是本古里安大学的一位微生物学教授对大运河 工程发表的反对意见。
小怜:
(某种意义上,那位教授还是网络名人呢......)
ここは工事系のコーナのようで、壁のプロジェクターには紅海-死海大運河の各工程の技術を詳細に説明している。
いくつものビデオには、果敢に知恵を出し合うマサダ人がいかに重大な困難を乗り越え、このようなスーパープロジェクトを完成させたのかが描かれている。
頭を空っぽにしたばかりだからか、こんな俺SUGEEEな宣伝されても少し抵抗感がある。
昨日の朝、カジノ船のレストランで、アニーが教えてくれた大運河のドキュメンタリーのリンクを思い出した。ページ下部に関連動画があったのだが―――
その内容は、ベン=グリオン大学*20のある微生物教授による大運河工事への反対意見というものだった。
レン:
(ある意味、あの教授はネットの有名人だったからな……)
这位教授出名,是因为不久前他在课堂上当着学生们吃某种爱斯基摩人传统食物的视频。
从死海豹身体中掏出发酵完成的侏儒海燕,然后用嘴对着海燕的............
总之,那魔幻的画面和炸裂的音效,迅速在社交网络上疯传,还成为了各种鬼畜视频的常客。
马萨达官方称在大运河建成前的几十年里,死海一直以每年水位下降1.2米的速度迅速枯竭。
如果不修运河,死海会在2050年之前完全见底。
但教授表示,这件事的根本原因是从上世纪六十年代开始,马萨达一直对本应汇入死海的河道截流。
人们都觉得西亚沙漠地下埋藏的石油是上天赐予的宝藏―――
但其实在这片土地上,最宝贵的资源是水。
他说如果将红海海水灌入死海,死海盐度会被大幅稀释,可能严重破坏原有菌群的生态平衡。
但显然没人会去关心什么细菌,大运河作为国家重点工程,当年随着新都选址的确定火速上马。
那段视频让我印象最深刻的是,那种鱼虾都无法存活的超高盐度水域,居然成了嗜盐细菌的天堂。
生态系統真是神奇……
小怜:
(但那视频居然讲了38分钟,难怪没人看......)
不知道现在15秒的视频是大多数人的脑力极限吗~
この教授は有名だ。と言うのも、少し前のことだ。彼が授業中に学生達の前でエスキモーの伝統料理を食べるという動画があったのだ。
死んだアザラシの体から発酵された小さい海鳥を取り出すと、その海鳥に口を向けて…………*21
とにかくだ。そのファンタジーな映像と噴出する音の効果は、急速にSNSに伝播し、様々なMAD動画の常連ともなった。
マサダ公式によれば、大運河が完成されるまでの数十年間、死海は年間1.2メートルの水位低下で急速に枯渇していたそうだ。
もし運河を作らなければ、死海は2050年までには完全に底がつくとのことだ。
しかしこの教授によると、この件の根本的な原因は、マサダが1960年代から死海に流れ込むべき川の流れを止めてきたことだというのだ。*22
人々は西アジアの砂漠地下に埋蔵されている石油を天からの宝物だと思っている―――
しかし、この土地において最も貴重な資源は水なのだ。
紅海の海水を死海に流し込めば、死海の塩度は大幅に希釈され、在来菌群の生態バランスは大きく崩れる可能性があると彼は述べた。
しかし細菌に関心を持つような人はいない。大運河は国家重要プロジェクトであり、その年に新しい首都の立地も確定したこともあって建設は急速に進んだのだ。
その動画で一番印象に残ったのは、あの魚やエビも生きられない超高塩度水域が、なんと好塩菌の天国になってしまったということだ。
生態系というのは本当に不思議だ……。
レン:
(でもあの動画、38分も喋りっぱなしだから、誰も見ていないんだよな……)
今は15秒の映像が多くの人の脳の限界だって知らないんだな~。*23
我继续在巨大的博物馆里游荡了好久,鬼使神差下走进一个冷清的展厅。
这里只有我一个人,大厅中央的展柜里陈列着两幅 类似人形生物的骨骼标本。每套骨骼缺失的部分都很多,一半以上的骨架要靠石膏补足才得以还原成大概的形态。
展柜上镶嵌的金属铭牌上写着『Lucy & Ardi』
走了半天我感到有些疲累,坐到一张长凳上。
小怜:
不知道那个不让人省心的小家伙现在在干嘛.......
一会参观结束后,我还要带小星尘去入境处补办手续。
昨晚在酒店,她把房间搞得一塌糊涂,还打翻了艾米莉歐送的石榴汁。
之后她居然还赖着让我帮她洗澡!
小怜:
(还好有安妮帮我解围......)
不、不然......
啊啊啊啊啊啊不想了不想了!!
我抬头看着展柜旁的年代还原示意图,画中描绘的似乎是个原始人群落。
构图与一部经典老科幻电影的开头有几分相似―――
那部电影中,地球上居住的古猿受某个巨大的黑色立方体影响而产生进化,终于懂得了使用工具。
我已经忘记自己是什么时候看过的那部电影,甚至有些恍惚是不是真的存在那么一部电影了。
黑色立方体……
忽然,我听到一个清丽的女声。
少女的声音:
很神奇吧―――我吓得猛转过头,看见一位少女正站在我身后。
她理了理仿佛丝丝锦般柔软的头发,对我露出一个温 柔的微笑。
俺はしばらくこの巨大な博物館を彷徨っていたが、半ば当然のように閑散とした展示室に入ってきた。
ここにいるのは俺だけで、ホール中央のショーケースには、人型生物のような骨格標本が2つ並んでいた。
1つ1つの骨は欠損している部分が多く、その半分以上が石膏で補ってから大まかな形に復元されている。
ショーケースに埋め込められた金属製のプレートには『Lucy & Ardi』*24と書かている。
長い事歩いていたので、俺は少し疲れを感じベンチに座った。
レン:
あの人をハラハラさせるちっこい奴は今頃何してるんだろう……。
見学が終わった後、俺は星尘を連れてまた入国所に行って再発行手続きをしなければならない。
昨夜はホテルで部屋をめちゃくちゃにして、エミリオから貰ったザクロジュースもこぼしていた。
その後も、あいつは俺に風呂に入るのを手伝ってくれって言うしさ!
レン:
(アニーが助けてくれてよかった……)
で、でなければ……
ああああああ!考えるな考えるな!!
俺はショーケースの横の年代復元模式図を見る。なにやら原始人の群れらしきものが描かれていた。
その構図は古典的な古いSF映画の冒頭と少し似ている―――
その映画では、地球上に住む猿人が、ある巨大な黒い立方体の影響を受けて進化し、ようやく道具の使い方を知ったのだ。*25
その映画をいつ見たのかも忘れてしまったし、そもそも本当にそんな映画が存在しているのかさえ分からなくなっていた。
黒い立方体か……。
突然、綺麗な女性の声がした。
少女の声:
とても不思議でしょう―――?
驚いて振り返ると、背後に一人の少女が立っていた。
彼女は絹のような柔らかな髪を整えていて、俺に穏やかな微笑を浮かべていた。
少女:
你好呀。
少女:
こんにちは。
*1:エルサレムの旧市街にあるユダヤ教、イスラム教の聖地。ソロモン王が建てたエルサレム神殿(第一神殿)跡地。
*2:ユダヤ教の聖地である"嘆きの壁"を指している。元々は紀元前20年、ヘロデ大王が完全改築に近い形で大拡張した、神殿を取り巻く外壁の西側の部分。
*3:この黒壁はイスラエル博物館にあるモニュメントがモデルと思われる。
参考画像:
このモニュメント自体は、死海文書を作ったエッセネ派の終末思想「光の息子たちと闇の息子たち」をモチーフにしたものだという。光の息子たちすなわちエッセネ派が、闇の息子たちすなわちその他のユダヤ教徒に勝つという考え方。勝つ方法は死海文書にあるとか。
*4:丸帽子はキッパと呼ばれるもので、ユダヤ教徒が常日頃からかぶっているもの。嘆きの壁などの神聖な場所においては、異教徒であってもキッパの着用が義務付けられている。
*5:ここで描写されている内容はいずれもユダヤ教徒でも"超正統派"と呼ばれる人の特徴。聖書の解釈の一つとして、顔に刃物を当てる行為を禁じている(=髭やもみあげが伸び放題)。また全身黒づくめの恰好は他の宗派との差別化を図るためで、同じユダヤ人であっても超正統派以外認めないというスタンスをとっている。
*6:ユダヤ教は元々妊娠・出産を重視する教義を持っている。その中でもこの超正統派は教義を厳守しており、イスラエル国内でも断トツの出生率(1世帯あたり6.9人)を誇っている。つまりレンちゃんが見かけた子供達は学校の生徒ではなく、2世帯分の子供達。
*7:このスチルはイスラエル博物館の死海文書館がモデルとなっている。
参考画像:
*8:イスラエルの死海文書館は、クムランの洞窟で発見された死海文書が入れられていた壺の形を模している。
*9:"新世紀エヴァンゲリオン"を指していると思われる。日本人、というか世のオタク達にこの文書の存在を(変な方向に)知らしめたアニメ。
*10:ルベン族、シメオン族、レビ族、ユダ族、イサカル族、ゼブルン族、ガド族、アセル族、ベニヤミン族、ダン族、ナフタリ族、マナセ族、エフライム族を指す。ここで挙げたのは全てで13族なのだが、切れの良い12に直すために特定の部族をカウントしなかったりする。詳しくはwikiを参照。
*11:ヤコブの別名に"イスラエル(神に勝利した者)"と言う名前がある。イスラエルの民すなわちユダヤ人はみなヤコブの子孫を称する。
*12:ヤコブの梯子、天使の梯子という名前でも有名なエピソード。旧約聖書の創世記28章10–12節にあたる。
*14:ソロモン王が建てた第一神殿(ソロモン神殿)はバビロニアにより一度破壊される。その後、バビロニアから解放されたユダヤ人がペルシア帝国のもとで、第一神殿跡地に第二神殿を建てる。そして再建された第二神殿はヘロデ大王により拡張・改築される。この時破壊されている第二神殿はこの改修後の神殿。
*15:イスラエル南部とヨルダン南西部にあたる、古代パレスチナ南部の地名。
*16:ユリウス・カエサルが創設し、ガリア戦記に名前が記されている第十軍団とは異なる。(こちらは紀元前45年に軍務を解かれ、その後解散されている。)
*17:ホロコーストを指す。第二次世界大戦中の国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)率いるナチス・ドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺。
*18:〈離散〉を意味するギリシア語。バビロン捕囚後にユダヤ人が異邦人の土地へと離散したという聖書の記述に由来し,本来はイスラエルから他のさまざまな場所へと移り住んだユダヤ人とその子孫の共同体をさす。しかし〈元は同じ場所に住み一つの文化を形成していたがその後は各地へ移住した状態にある〉という意味で,ユダヤ人に限らず使われる。ここでいう2回のディアスポラとは、バビロン捕囚とエルサレム陥落だと思われる。
*19:神がアブラハムの子孫に与えると約束した土地、カナン。聖書においては「乳と蜜の流れる場所」と描写されている。
*20:モデルはイスラエルに実在する国立大学ネゲヴ・ベン=グリオン大学。
*21:スチルに描かれている風貌、右下に書かれているItsukiの文字、そしてこの伝統料理を食べるというエピソードから、"もやしもん"に登場する樹慶蔵がモデルだと思われる。このアザラシ漬けの料理はキビヤックと呼ばれるもので、この"もやしもん"により日本での認知度も大幅に高まった。ちなみに樹教授には実在するモデルがいると言われていたが、作者自身によりモデルの存在は否定されている。
*22:実際の死海でも直面している問題。年90センチ以上も水位が下がっており近い将来枯渇するといわれている。その原因も同じで、死海の水源となっているヨルダン川を工業利用によって堰き止めているためと言われている。本件の解決策としてイスラエル政府が提示したものが、人工的な運河(死海ー紅海)を作るという計画。このプロジェクトは中国企業が受注する可能性が高いと囁かれている。
*23:中国発で日本でも大流行しているTik Tok、またその類似アプリのことだと思われる。
*24:人類学においてとても重要な名前。最も古い人類の祖先は、1974年にエチオピアで発見されたアウストラロピテクスの女性で"ルーシー"と名づけられていた。これは当時、ビートルズの "Lucy In The Sky With Diamonds" が発掘現場に流れていたのでこのような名前になったとされている。そのルーシーが生きていたのは320万年前。
その後、1922年に発見されていた猿人が440万年前のものと分かった。これも女性で、アルディピテクス(Ardipithecus)属のラミディス(Ramidus)種と分かると、"アルディ"(Ardi)と名付けられた。これにより、最も古い人類の祖先はルーシーからアルディに替わることになった
*25:スタンリー・キューブリックが監督の映画、"2001年宇宙の旅"。冒頭の猿人が骨を振り下ろすシーンは様々な媒体でパロディ化されるぐらいに有名。